子ども万華鏡大賞

作品名:まだいもむしのアゲハ

【のぞく時の注意点】いろえんぴつのかすがうごいて、しんしゅのむしがみえるのでゆっくりね

【工夫した点】おこったときにでるつのとほんもののアゲハをそだててかんさつしました。

【この万華鏡の楽しみ方】なでてあげてね。

審査員講評

「まだいもむしのアゲハ」を子ども万華鏡大賞としました。この作品は、アゲハチョウがいもむし(幼虫)だった時の万華鏡です。このような万華鏡をご覧になったことがおありでしょうか。多くの方が「初めて見ました!」という感想でしょう。そうなんです。この作品は、世界に1つだけの作品と強く感じさせる作品なのです。作品は、緑色のふわふわの紐を丹念に巻いて柔らかい感じが表現されています。いもむしに愛情がそそがれていて、見たときから可愛さを感じます。緑色の地色に、黒色や白色、斑点のテープを貼って工夫されています。金色のモールの角が興味を引きます。

 万華鏡をのぞいてみると、自分がいもむしになったような美しいミクロ世界に出会うのです。小さな緑色のオブジェクトに、黄色や赤色や空色が不思議な形を作っていきます。見たこともない幼虫の体験する草の生活世界がそこにはあるのです。鑑賞者は、自分の体が小さくなってアゲハチョウの芋虫になったかのような気持ちになるのです。好物の葉っぱや棲んでいる家。アゲハを育てて観察した貴重な体験が作品に結実しています。類を見ない高い独創性を評価して子ども万華鏡大賞としました。

京都市教育長賞

作品名:紅葉

【のぞく時の注意点】回すときは筒ごと回して下さい。シールははがさないで下さい。立てて置いて下さい。

【工夫した点】イメージは秋で考えました。紅葉した紅葉の葉が満面に見えるように工夫していました。紅葉の色合いを頑張って調合して作りました。

【この万華鏡の楽しみ方】コップをのぞきこんで、背景を変えられます。池は下向きにみたり夜はすこしずつ出しながらのぞいてみて下さい。

審査員講評

作品「紅葉」を京都市教育長賞としました。この作品は、外光を取り込むことができる万華鏡に注目し、先端の色を変えることで万華鏡の内部の色を変えられるようにした、工夫いっぱいの万華鏡です。5個のコップで色が変えられるようになっています。夕焼けの赤色(ピンク)、朝の黄緑色、夜の黒色、池の青色、ちょっと優雅な黄色など、見る人(鑑賞者)は、「これは、どうなるのだろう」という気持ちが湧いてくるのを感じます。

 万華鏡を覗いてみると、秋の紅葉がテーマになっているのですが、そこは絵画のような決まり切ったひとつだけのイメージではありません。赤色から黄色・紺色など、山や森の木々の1枚1枚の葉が、次々と変わっていく悠久の時間、季節の本当の移り変わりの素晴らしさが感じられるのです。鑑賞方法に沢山の工夫を盛り込み、光空間に季節の移り変わりを感じさせてくれる優れた作品と捉え、京都市教育長賞としました。

京都万華鏡
ミュージアム賞

作品名:ミナミ ハコフグのおうち

【のぞく時の注意点】ハコフグがみえるように、ときどきふってね!

【工夫した点】なつにいったすいぞくかん(山口県海響館)でみたミナミハコフグのおうちです。やまぐちけんのうみでひろったかいがらやシーグラスをつけてかわいいおうちにしたところです。

【この万華鏡の楽しみ方】のぞくとハコフグがたくさんいるよ!

審査員講評

作品「ミナミ ハコフグのおうち」を京都万華鏡ミュージアム賞としました。夏に水族館(山口県、海響館)に行ったそうです。そこで見たミナミハコフグが、万華鏡のオブジェクトとして入れてあり、万華鏡の鏡世界で元気に泳ぎまわる作品なのです。生み出される光表現は、ひょうきんなふぐの顔が確認できる時や、海の中の不思議な模様となっている場合など多彩です。海の水は、なぜか一粒一粒が感じられるような立体感があります。

 また、万華鏡の筒は、山口県の貝殻で凹凸が巧みに意識されて埋め込まれていて、海が丁寧に表現されています。海岸でのお散歩から海の中のお散歩へと導かれる万華鏡です。万華鏡がそのまま海体験になったような、楽しさ溢れる世界が生み出される作品となっており、その点を高く評価して京都万華鏡ミュージアム賞としました。

京都万華鏡
ミュージアム賞

作品名:はやくゆきがふってほしい

【のぞく時の注意点】ゆきだるまのはながとれないようにしてほしいです

【工夫した点】いろいろないろのゆきをつくったところです。ゆきだるまとちきゅうとケーキとかたつむりもつけました。あついきもちをピンクいろであらわしました。

【この万華鏡の楽しみ方】あついから、はやくゆきがふってほしいとおもってつくりました。うみでみつけたシーグラスをいれたらゆきみたいにみえました。

審査員講評

作品「はやくゆきがふってほしい」を京都万華鏡ミュージアム賞としました。濃いピンク色の美しい万華鏡です。遠くからもユニークさが強烈に感じられる作品です。紙粘土に色を入れて、練り込んであるのかもしれません。雪だるま、地球、ケーキ、蝸牛が作り込まれています。球形や塔のように突き出た形が、造形的にとてもユニークで、独自の形への思いが盛り込まれています。

 中を覗くと数々の雪の結晶のような幾何形体が形を変えていき、雪の降る日を体験させてくれます。女性彫刻家 ニキ・ド・サンファルの作品にも似た、立体作品なのにカラフルな世界へもつながっていくユニークさを高く評価し京都万華鏡ミュージアム賞としました。

京都万華鏡 ミュージアム賞

作品名:虹が見えたらいいね!

【のぞく時の注意点】水性ニスを使用している為、濡れた手で触らないで下さい。外筒のパーツがとれやすいです。

【工夫した点】1月にお空へ行った愛犬に「虹が出ると会える」と信じて、雨のあとは虹を探します。愛犬の中に明るくキラキラな虹を表現しました。お空でおやつを食べれるように、お団子とキャンディーを飾っています。

【この万華鏡の楽しみ方】虹の模様を出す為に、中に入れる物の材質を試行錯誤しました。本物の虹のようにたまにしか見えない虹を探して楽しんで下さい。

審査員講評

作品「虹が見えたらいいね!」を京都万華鏡ミュージアム賞としました。カラフルな透明感のある花形オブジェクトを使って、可愛い愛犬がモチーフとなった万華鏡です。このワンちゃんは、可愛い空色で4枚の花びらの髪飾りをつけています。お団子とキャンディもついています。空で食べてもらえるようにだそうです。

 万華鏡の中を覗くと、暗い色も入っており、時折虹色が見える光空間です。愛していた掛け替えのない思いが大切な一本の万華鏡となりました。可愛い愛犬への思いを作品にした作品価値の唯一性をうったえた点を高く評価して京都万華鏡ミュージアム賞としました

審査員特別賞

作品名:かがやけ!クワガタのきんいろのはね

【のぞく時の注意点】でこぼこして持ちにくいのですべり落さないようお気をつけください。

【工夫した点】竹林の中のクヌギの木にいたノコギリクワガタをつかまえた2023年夏の思い出を製作しました。ノコギリクワガタは金色の羽にしました。こまかい足と触覚・上羽が特徴です。自分の服装は、青と赤で明るくてかっこいい色にしました。名前も入れました。

【この万華鏡の楽しみ方】石は虹色のものを選びました。中の虹色を楽しんでください。金色の羽もみてください。

審査員講評

作品「かがやけ!クワガタのきんいろのはね」を審査員特別賞としました。竹林の中のクヌギの木にいたノコギリクワガタの思い出が万華鏡になりました。驚くほどの造形力。紙粘土の表現が、突出しています。人物は、紺色の服に「SOMA」と書かれた服を着ています。ズボンが茶色なので、ノコギリクワガタがいた木の幹の茶色と重なる、ダブルイメージの効果が感じられる「にくい趣向」の作品です。ハサミのあるピンク色の頭部。輝く金色(黄色)のボディ。ウムハンギノコギリクワガタは、羽も黄金色だそうですが、かなり注目度の高いカラフルなクワガタです。中を覗くと、オブジェクトを密閉したチェンバー(容器)にオイルを入れた万華鏡なので、移り変わりはゆったりとしていて、少し暗げなところに数々の光が幻想的に差し込んでいる様子とも感じられます。涼しげな竹林内部にいるようなのです。印象深い思い出を独自の表現に結びつけていった力を高く評価し審査員特別賞としました。

審査員特別賞

作品名:あさのうみ

【のぞく時の注意点】ゆっくり回してください。

【工夫した点】大好きな魚を大好きなピンクと紫で作りました。

【この万華鏡の楽しみ方】外側も万華鏡の中も、明るい朝の海を楽しむことができます。

審査員講評

作品「あさのうみ」を審査員特別賞としました。明るい朝の海がテーマになっています。朝・昼・夕方・夜と、海が表情を変えるのが身近な方もおられるでしょうが、その海の中を想像した方はどのくらいおられるでしょうか。どうしても海は、水面近辺と内部が分離していて内部を想像しにくいようです。本作品は泳いでいる魚が、円や楕円を感じさせる魚で表現し、存在感たっぷりです。空色とも言える青色は、海に差し込む光を連想させ生き生きした活力満点の世界を想像させます。キラキラしたパールのようなオブジェクトは、魚や海の中の空気が感じられる表現です。

 中を見ると密閉したチェンバー(容器)に水を入れているのでしょうか。深い水の中にいるように揺らぎが感じられ、水中で織りなされる多様な色や形が楽しめます。豊かな着想力と海への洞察力を高く評価して審査員特別賞としました。

審査員特別賞

作品名:ひこうきと びーだまと かいがら

【のぞく時の注意点】

【工夫した点】ねん土をこねこねまぜました。ひこうきをつくってくっつけました。大すきなものをたくさんつくってくっつけました

【この万華鏡の楽しみ方】ぼくがえらんでいれただいすきなオブジェクトがゆっくりうごくよ

審査員講評

作品「ひこうきと びーだまと かいがら」を審査員特別賞としました。飛び出てきている飛行機が大迫力の作品です。紙粘土をこねて作ったそうです。空には、丸めた粘土を押して作った形や、宝石のように透明感溢れるオブジェクトなどがはめ込まれ、大胆で力強い、圧倒されるほどの表現となっています。

 中を見ると線条の透明で緑色のオブジェクトや、大きなパールのような球型のオブジェクトや赤紫のオブジェクトなどが印象深い光世界をつくっています。オイルタイプの万華鏡なので、なめらかにゆったりと表情を変えていきます。圧倒的に立体感あふれる外観と、興味を持って透明で線条なオブジェクトや様々なオブジェクトを試行してユニークでなめらかに動く光世界をつくりだした点を高く評価して審査員特別賞としました。

佳作

作品名:ゆいのうみ

【のぞく時の注意点】特になし

【工夫した点】海をイメージして作りました。ピンクのクラゲを貼るのが難しかったです。他にも色んな魚が紙ねんどで作って貼られています。中に入れるビーズも海の生物をえらびました。

【この万華鏡の楽しみ方】おさかなが沢山いる海を想像して見てほしいです🐟

審査員講評

作品「ゆいのうみ」を佳作としました。本作品は、独創的な作品性の高さが持ち味です。万華鏡の筒には、紙粘土を何度も握るようにして力を加え、魚やクラゲ(ピンク色)などが表現されています。この作品は、ひとつの棒状のマッス(塊)をなしています。単なる円柱ではなく、迫力を備えた立体なのです。しっかりとしていて、美しい彫刻(立体)を見るようです。この素晴らしさは、言葉で言えないほどです。作者の思いが粘土に伝わっていったかのようです。このベースにピンク色やマゼンタ色の小さなビーズが丹念に埋め込まれています。中を見ると驚くほど大規模で繊細な光空間が現れます。海の生物や魚が沢山いる海を念頭にオブジェクトを選んだそうです。無数に魚のいる広大な海空間を感じさせる力作となりました。

主催:京都万華鏡ミュージアム