作品「はすのせかい」を子ども万華鏡大賞としました。水にのりを加えた液体をオブジェクトケースに入れており、水面を感じさせる挙動や揺らぎが演出される驚きの作品です。折り紙で蓮を丁寧に作り込み、その世界と予感させますが、覗いた世界は、この作品でしか体験できないウォーターワールドなのです。
筒の中に、青い6つの小さな腕が出ている雪の結晶オブジェクトを入れて、絞り込まれたオブジェクトだからこそ作り出せる、精神性の高い飾り気のない世界が提示されます。このオブジェクトは、筒にも貼られています。これらが、水の揺らぎ世界とともに味わえるのです。作品からは高い文化性や東洋の宗教観ともいえる世界観が感じられます。西洋では、ステンドグラスが文化的な宗教性を感じられる表現として用いられますが、東洋では、格子や障子からの光しか無かったように思われます。万華鏡が、高い精神性に接近できる装置であることを作品「はすのせかい」は、われわれに教えてくれていると考えられます。身近に蓮の池があるのでしょうか。どんなところに動機があったのかお尋ねしたくなります。他にないすぐれた芸術性と高い体験提示性がある作品ととらえ、子ども万華鏡大賞としました。