子ども万華鏡大賞

作品名:まよなかの花のお庭

【のぞく時の注意点】あかるいところでのぞく

【工夫した点】中がはでなので、外はかざりを少なめにした。夜っぽくするためにキャップの中に青のおりがみを入れた。

【この万華鏡の楽しみ方】ちょうちょがたまーにできるのでさがしてみる

審査員講評

作品「まよなかの花のお庭」を子ども万華鏡大賞としました。満月の夜と後姿の黄色の猫が印象深い万華鏡です。内部の光表現も全体を濃い紺色を主調色にして、夜そのものの美しさが際立っています。トータルで「まよなか」の出来事を味わえるすぐれた万華鏡と言えるでしょう。月が、覗き窓側にあり、猫とレンガの構造物は、チェンバースコープのオブジェクトケース側にいます。月側から花のお庭があるのかもしれない猫のいる側を見るセッティングと言えるかもしれません。美術作品は、必ずこう見なければいけないというわけでなく、自由な解釈が許されるジャンルですが、一つの見方として、猫のいる外観は横からなのですが、内部の光表現は、上からの広がり(花のお庭)が見えると考えることができるとも思われます。そのお庭には、薄暗い中でもキラキラと輝く花たちが暗い葉の緑色、花弁の暗い赤色などを見せながら咲いているのです。手の中に入る万華鏡に、月との距離感や花の咲く庭など大きな距離感を凝縮して、真夜中の美しさを見事に提示した作品であり、トータルなデザイン力の高さを評価し子ども万華鏡大賞としました。

京都市教育長賞

作品名:金魚鉢

【のぞく時の注意点】指でセロファン面をおさえないようにしながら、光源の方を向いて覗いてください。明るいところで見ると、きれいに見えます。

【工夫した点】金魚の色を1匹1匹変化させた。単調にならないように、金魚の配置を工夫した。水面の波紋がどこかに固まりすぎないように分散させた。

【この万華鏡の楽しみ方】青いセロファンの面を上にして見上げるように覗くと、水中から金魚をながめているように、下にして見下ろすように覗くと水面下の金魚をながめているような感覚になります。

審査員講評

作品「金魚鉢」を京都市教育長賞としました。外観は、白地に薄い直線をあしらった背景に水の波紋が広がっていく表現で、立方体の一つの頂点から覗く万華鏡です。サイコロ型万華鏡とかラビリンスボックス(立方体の空間充填万華鏡)とも言われています。万華鏡の内側の1面に金魚の表現、別の面に水面にできた波紋、水中の藻たちも表現されています。これらがクロスする空間が見事に演出されています。また、金魚の色を変えるために赤色や青色をつくる工夫をしています。また、水の波紋も単なる円ではなく、二つの円が繋がるように配置されています。これらが、同じ空間に共存して見える不思議さがあります。数々の工夫を盛り込んだ結晶とも言える作品を高く評価して京都市教育長賞としました。

京都市教育長賞

作品名:観察

【のぞく時の注意点】非常に壊れやすいので、持ち上げてのぞく際には「ここを持つ」以外のところを持って持ち上げないでください。見る前に軽く振って、オブジェクトが動くようにしてください。

【工夫した点】アオミドロ、ボルボックス、ミカヅキモの形のオブジェクトをプラ板で自作した。顕微鏡の形を工作用紙で自作した。また鏡筒が回転できるようにした。

【この万華鏡の楽しみ方】「ここを持つ」と書いてあるところを持って「まわす」と書いてある部分を回しながら見てください。下方45°ぐらいを向いて見るのがおすすめです。

審査員講評

作品「観察」を京都市教育長賞としました。この作品は、外観が見事に顕微鏡に見える作品です。実際の顕微鏡よりもおしゃれな空色の鏡筒、マットなグレイの支持棒、どれをとっても美しい端正な姿に多くの人が何度も見いってしまうでしょう。科学者じゃなくても、普段科学嫌いな人も、思わず覗いてみたくなると思われます。焦点を合わせるように、鏡筒を回すことができます。覗いてみると驚くような緑色を主調色(ドミナント(dominant))とした世界を見ることができます。アオミドロ、ボルボックス、ミカヅキモの形をプラバンで自作した光映像を見ることができます。例えば、アオミドロは、藻類で縦長です。細胞内の葉緑体がリボン状態になっているそうです。ボルボックスは、池や田んぼにいる転がるように動き回る植物性プランクトンです。球体の体に丸い緑色の組織が沢山見られます。ミカヅキモは、長めの三日月のような形をしている淡水に棲む接合藻です。確かに万華鏡の内部には、それらの興味深い形が、ぎっしりとしかも美しく見ることができます。外観も突出した完成度でしたが、内部の光表現は、生命の神秘を見るような素晴らしさでした。こうした完成度の高さを評価して京都市教育長賞としました。

京都万華鏡
ミュージアム賞

作品名:将棋

【のぞく時の注意点】斜め下向きに見ると色々な駒が一度に見えやすくなります。

【工夫した点】将棋の駒をプラバンで作り、筒の回りを将棋盤に見たてました。

【この万華鏡の楽しみ方】推しの駒に変えられます。今見えているのは王将ですか?玉将ですか?

審査員講評

作品「将棋」を京都万華鏡ミュージアム賞としました。王将など将棋の駒が、万華鏡の光表現に登場する作品です。将棋の駒は、プラバンで自作しています。鏡筒には、将棋盤が表現されています。チェンバー(オブジェクトケース)の中には、自作の将棋以外に黄金に光るオブジェクトやパール色のオブジェクトなどが入っています。時折、将棋の駒は、輝くオブジェクトに応援を受けたイメージとなります。これまで将棋の万華鏡を発想した方は、なかったのじゃないかと推察します。興味・関心を深めて自己の発想を実現していく力量は突出しており、自分の万華鏡を開発していく姿勢を高く評価して、京都万華鏡ミュージアム賞としました。

京都万華鏡
ミュージアム賞

作品名:オセロ

【のぞく時の注意点】筒をかるくふってオブジェクトを泳がせてから見てください。

【工夫した点】オセロの石をプラバンで作り、オイルを淡い緑色にしました。

【この万華鏡の楽しみ方】下を向くとオセロが、上を向くと全く違う模様が楽しめます。

審査員講評

作品「オセロ」を京都万華鏡ミュージアム賞としました。表裏が白黒のオセロの石が、万華鏡の光表現に登場する作品です。万華鏡の機構は、オイルタイプのチェンバースコープです。オセロは、オセロ盤と石で構成されますが、鏡筒にオセロ盤、内部の石は、プラバンで自作されています。オイルタイプなので宙を舞うようにゆっくりと白黒が入れ替わります。チェンバー(オブジェクトケース)の中には、オセロの石だけでなく透明感のある黄色やビーズも入っているようです。内部を覗いてみると、これまで見たこともないオセロイメージに遭遇します。オセロの万華鏡を発想した方は、少なかったのじゃないかと推察しますし、ご自分で作ってみて新体験を受けたのではないでしょうか。興味・関心を深めて自己の発想を実現し新たな地平を切り開いていく、その力量は突出しており、自分の万華鏡を開発していく姿勢を高く評価して、京都万華鏡ミュージアム賞としました。

審査員特別賞

作品名:星空のカーテン

【のぞく時の注意点】下からのぞいてください。絶対逆さにしないでください。

【工夫した点】ビーズを入れたほうのキャップの底に黒い紙をはって、のぞいた時に夜空のようになるようにしました。また、糸を使って吊り下げることで動きがでるようにしました。

【この万華鏡の楽しみ方】星空をイメージしながらのぞいてください。

審査員講評

作品「星空のカーテン」を審査員特別賞としました。星空の大きな揺らめき、奥行き感から神秘的なロマンを感じさせる作品です。淡い紫みのシートが全面に貼られています。また、チェンバー(オブジェクトケース)側に紺色の布を貼り、クリアなボタンを貼り付けました。ボタンを起点に紺色と透明のビーズのわっかが出ています。また、長い糸の先に針金でできた金色の星形のオブジェクトが下げられています。星空いっぱいに細かな輪郭の見えないカーテンが揺らめいているようです。

 万華鏡の中を見ると、チェンバーの先端に黒い紙かシートが入っており、星空の暗さを演出しています。そこに極めて細かなオブジェクトが沢山入っていて、星が生まれてくる宇宙の中心部分のような姿を見ることができます。この万華鏡の内部では、星々は、離れて孤独ではなく、肩を寄せ合った濃密な関係にあります。独自の世界をもった作品と高く評価して審査員特別賞としました。

審査員特別賞

作品名:綺麗な花

【のぞく時の注意点】とくになし

【工夫した点】のぞいてうつる物

【この万華鏡の楽しみ方】綺麗な物を楽しんで下さい

審査員講評

作品「綺麗な花」を審査員特別賞としました。万華鏡の鏡筒には、オレンジ色のかわいい花と数々の緑色の葉っぱが全面にデザインされた紙が綺麗に貼られています。中をのぞくと、オレンジ色のてんとう虫のような姿がくっきりと映し出されます。生命の生活がそこにある作品なのです。デザイン化された外観からみると大きな意外性がある作品と言えるでしょう。一度思いやお考えをうかがいたくなるような、われわれに問いかけてくる作品と言えるでしょう。大切にしたい独自の考えや捉え方がおありだと推察し、独創的な発想を評価して審査員特別賞としました。

審査員特別賞

作品名:Flower

【のぞく時の注意点】桜に手をひっかけないでください

【工夫した点】華やかでゴージャスな感じになるように鮮やか色を使いました。

【この万華鏡の楽しみ方】お花畑をイメージするとのぞいてて楽しいです。

審査員講評

作品「Flower」を審査員特別賞としました。ピンク色の背景に黄色と青色の桜の形が綺麗に貼りこまれています。この2つの花はかなり大きく、鏡筒を大きくはみ出ています。

背景に桜をイメージするピンク色をはり、あえて大きな桜の形には即物的な色ではなく、黄色と青色を選択して、特段違和感がなく、かえって印象深さを獲得している点が大変ユニークです。他の人に思いつかない、発想力を感じさせます。また、鏡筒の両端には、小さな花模様を貼って表現しておられ、対比が華やかな万華鏡となっています。桃・梅・桜の3種類の木の花は、どれも薄いピンク色で美しいのですが、花びらの先が割れているのが桜らしいので、本作品は桜の形を万華鏡にしていると考えられます。

 内部を覗いてみると、桜の花びらを連想する形の大きなピンク色のシートと、マゼンタ色や緑色などの小さなオブジェクトが織りなす光映像は、愛らしい花が豊かに咲き誇るイメージとなって大変美しいです。色彩が、対比で印象を与えていくという本質をしっかりとらえ、巧みに表現に生かしていった力量が極めて高く、審査員特別賞としました。

審査員特別賞

作品名:いるかとサンゴ礁

【のぞく時の注意点】筒のかざりが少し取れやすくなっているのであまりさわらない。

【工夫した点】キャップの中に紙を入れて穴を空けて光が少しもれてくるようにした点。

【この万華鏡の楽しみ方】光の入り方を楽しむ。いるかをさがす。

審査員講評

作品「いるかとサンゴ礁」を審査員特別賞としました。背景に当たるチェンバー(部屋、オブジェクトケース)に、大きく円の形に切った、深い海の青色の紙のオブジェクトを入れ海の存在感を表現しています。この青色の丸い紙の中心部分に小さな矩形の穴を開けておられ、光が海に差し込んでいるような神秘的な光映像となっています。外観は、中心のかなりな部分が明るい青色で、両端にピンク色とレモンイエロー色が配置されています。その紙の上に小さな星型等のオブジェクトを直線に配置しているところがユニークな点です。こうしてみようという意欲や発想が優れ、光が差し込む海が効果的に演出されており、工夫する力量を高く評価して審査員特別賞としました。

審査員特別賞

作品名:晴れ

【のぞく時の注意点】雲で持ちにくい

【工夫した点】和紙をちぎってはったり、わたで雲をあらわした

【この万華鏡の楽しみ方】外見と中身のちがい

審査員講評

作品「晴れ」を審査員特別賞としました。夕焼けのような真っ赤な色を背景に、黒い色のシルエットの電柱や電線や草、白い色のわたの雲など、風景がモチーフとなった大変美しい万華鏡です。特定はしにくいのですが白さが際立って美しい、天空にある手で紙をまるく切ってつくった夕焼けの太陽か、早く出ている満月の月が強い印象を与えています。万華鏡は手の中に入るくらいのサイズですが、自然の広々とした大きな空間を感じさせる作品と言えるでしょう。

 万華鏡の種類としては、チェンバースコープと思われます。中をのぞくと、粒を感じさせる深い色や浅い色の緑色のオブジェクトや、補色の赤色やマゼンタ色のオブジェクト、深い色の紺色のオブジェクトなど、落ち着いた印象の光映像が次から次へと展開します。赤色系統の色のクリップも入れて、植物の茎や動物の耳なども感じられます。素晴らしい発想力と着想力、卓越した技量と表現力がひとつになった万華鏡を高く評価して審査員特別賞としました。

審査員特別賞

作品名:川辺の夜桜

【のぞく時の注意点】明るい所で見たあとは手や指で半分ほどふさいで見てください

【工夫した点】色紙を2枚使って天の川をイメージしました中のビーズやクリップは桜をイメージしました

【この万華鏡の楽しみ方】なるべくゆっくりと回してください

審査員講評

作品「川辺の夜桜」を審査員特別賞としました。外観には、マーブリングかのような明るさが変わっていく、うっすらとした赤色と、その上に流れを感じる金色の曲線とがひとつになった紙を選んでいます。また、細かなキラキラした銀色か光沢のある白色の紙も選ばれて貼りこまれています。曲線と直線のイメージの2つの紙のつくりだす姿に、多くの人が川辺の美しさを感じることでしょう。和の美しさのようなゆったりとはしていますが、調和が基調にある価値観がしっかりと取り上げられています。鏡筒の覗き込む側には、金色の線の模様のシートも貼りこまれ、日常を超えていく優雅さが演出されています。

 万華鏡をのぞくと、淡い色味の小粒のオブジェクトが選ばれて、かわいい光の映像が作り出されています。赤色か茶色のクリップも入っており、繊細な幾何形体を味わうこともできます。美意識を活躍させて取り組まれたすぐれた作品と高く評価して審査員特別賞としました。

佳作

作品名:夏休みの思い出

【のぞく時の注意点】ない

【工夫した点】夏休みの思い出を出来るだけつめたところです。

【この万華鏡の楽しみ方】まわす

審査員講評

作品「夏休みの思い出」を佳作としました。外観はきっぱりとした黒色を背景に、薄皮のスイカ、カブトムシなど夏休みの思い出が、高いデザインセンスで構成された万華鏡です。スイカも種(たね)を表現しなかったのが妙味です。実の赤色と皮の緑だけでいい。実の切り方は、ほぼ90度、直角です。一辺が曲面ですが美しい三角形に近いスイカで、よく熟した魅力的な赤色を与えています。整理・捨象することでデザインのエッセンスが際立っています。カブトムシも頭部の先端あたりだけに絞り込んできていて、質感を与えるためにフェルトのような材料を使っています。明るい二つの黄色の米粒型は何でしょうか。よい位置に貼られていますが、しっかりと分かりやすいデザインに謎が埋め込まれている面白さがあります。美しい2つの小粒は何でしょうか。

 万華鏡を覗くと、小さな円柱状のオブジェクトや粒状のオブジェクト、クリップを開いたような線状オブジェクトが入っており、シンプルな幾何形体の光映像を見ることができます。デザインする心が豊かに活躍したすぐれた作品ととらえ、佳作としました。

佳作

作品名:キラキラの海

【のぞく時の注意点】リボンをさわらないでみてください

【工夫した点】中のビーズにいろんなのを色入れたり、大きさのちがうものをつかった。ほしのビーズ、リボンのビーズ、パールのシールなど海の中をさいげんしました。

【この万華鏡の楽しみ方】外と中がリンクしているので、そこを楽しんでみてください。

審査員講評

作品「キラキラの海」を佳作としました。ブルーの色を背景色として、白色のレースや、パールのネックレスを連想させるビーズ群、小型でもボリューム感のあるかわいい星形などを配置した万華鏡です。

 万華鏡の中をのぞくと、ブルー系統の色味の小粒のオブジェクトが選ばれていて、海の水の1滴1滴が表されているようです。そして、さらに細かな粒のオブジェクトも投入され、無限に広くて深い海の世界を覗いているような気持ちにさせてくれます。オブジェクトの大きさを厳選して、大小を見極めて投入されており、小粒でも大きな方のオブジェクトと小さな方のオブジェクトの間にパースペクティブが感じられ、オブジェクトの数だけ別々のパースが感じられるような広大なキラキラの海の作品となっています。既存の万華鏡では見ることのできない、外観では気品と内観では海の世界の面白さを見せてくれるすぐれた作品と受け止め、佳作としました。

佳作

作品名:海の中

【のぞく時の注意点】暗いところより明るいところで見た方が海ぽくみえます

【工夫した点】のぞくところに青いシートをはることで青くなり、もう1枚の曲がった青いシートにより回すと青さが変わるようになってます。

【この万華鏡の楽しみ方】光源の方を見ながら回したり、本体を上下させたりすると、波のような感じになります。

審査員講評

作品「海の中」を佳作としました。深い海が体験できる万華鏡です。背景にグラデーションのように段階的に明度の変わる紙を貼り、その上に深い青色の透明なビニール地を貼って表現しておられます。白いサンゴのような海の生物もいます。材料を重ねて海の中、海の深さが表現されています。覗くところに青色のシートを貼り、先端部分では青色シートをまげて設定しており、海の青色は手前側、青色の彩度の違いは曲げた側で作られます。外観を見ているときには、青い海色の持ち手が付いているのかと思いましたが、これの距離の違いが、海の波や揺らぎにつながっているのでした。オブジェクトは厳選して少ない量で表現しています。自分の思いは、このようなやり方でできるのではないかと見通をもつことを構想力といいますが、本作品は、卓越した構想力と実現のための極めて独自な解決方法に特色があります。すぐれたユニークな取り組みと認め、佳作としました。

佳作

作品名:お花

【のぞく時の注意点】周りについている、花、ボンボンがとれやすい

【工夫した点】中身もむらさきに統一して、白、ピンクなども入れて、あざやかに見せた。

【この万華鏡の楽しみ方】かたむけると、またちがった花の形に見える

審査員講評

作品「お花」を佳作としました。かわいい紫色の花の万華鏡です。外観には、明るい黄緑色を背景に、薄い紫色の花と濃い紫色の花のオブジェクトが貼られています。この作品の紫色は、気品の高い紫色として位置づけられています。鏡筒の上端・下端には、紫色のレースでも表現し、落ち着いた中でもひらめきが生じるイメージが感じられるでしょう。赤色や青色や黄色など元気だけれど好みの別れる状態ではなく、あらゆる人を元気に受け入れてくれる広さが感じられます。

  万華鏡を覗くと、ここでも紫色に厳選し、極めて小さな粒状のオブジェクトと矩形のオブジェクト群で、お花が表現されています。特に矩形のオブジェクトは、色々な組み合わせとなって四角い花びらを感じさせてくれます。統一したデザイン感覚が発揮されたすぐれた作品ととらえ、佳作としました。

佳作

作品名:華

【のぞく時の注意点】つつの装飾にふれないでほしい。

【工夫した点】工夫したのは、クリップを曲げたり、大きいビーズと小さいビーズのバランスを考えた所。

【この万華鏡の楽しみ方】クリップが花びらにみえるので注目してほしい。

審査員講評

作品「華」を佳作としました。外観は赤色の背景色に、黒色や金色の造形や、綺麗に結んだ金色のリボンで飾った万華鏡です。遠くからもよく目立ちます。お祭りの時の提灯などのカラーリングのようで、豪華さや派手さの中に、神聖が感じられる外観です。万華鏡の仕組みとしては、ドライなオブジェクトケースを持つチェンバータイプの万華鏡です。覗いてみると黄色や赤色のクリップが、線状の印象深い花形を見せてくれます。淡い色の小さめのオブジェクトが多すぎないように制限し、赤い粒と黄色い粒が基調の花の花弁を思わせる光映像が体験できます。クリップが、そのままでなく曲げて入れてあり、効果的に花の形をつくっています。様々な工夫を盛り込んだ完成度の高い作品と認め、佳作としました。

佳作

作品名:四季

【のぞく時の注意点】かざりがはがれやすいので気を付けてのぞいて下さい。

【工夫した点】色のバランス

つつのかざりつけ(「夏」の金魚の立体感)

【この万華鏡の楽しみ方】つつごと回して四季をイメージした色合いを楽しんで下さい。

審査員講評

作品「四季」を佳作としました。鏡筒を縦に分割して、四季が体験できる万華鏡です。レモンイエローの帽子をかぶって両手を挙げた雪だるまや、オレンジ色のミカンをのせた鏡餅や、緑の軸のついたみかんで表現した冬の季節。明るいマゼンタ色の和紙を背景に黄色の花が咲いている春の季節。水色の和紙を背景に赤い金魚やスイカや大輪の花々が咲く夏の季節。モミジなどの紅葉や茶色の帽子をかぶったようなかわいいどんぐりの秋の季節。このように、四季が順に表現されています。背景とモチーフのカラーリングがしっかりと考えられ、色紙を高精度に切って貼るなどと作りこまれていて、楽しい季節の移り変わりを味わうだけでもこの作品を手にしたくなります。

 中をのぞくと、淡い色の水色や黄色、緑色やピンク色など、色調はポップで元気がでますが、軽快感のある世界を見ることができます。四季を重厚・大仰に捉える見方もありますが、この作品はどこまでも肯定的に事物を見つめていこうとする姿勢があります。かけがえのないすぐれた作品と認め、佳作としました。

佳作

作品名:sakura

【のぞく時の注意点】ビーズに気をつけてください。

【工夫した点】ビーズでアクセントをつけました。

【この万華鏡の楽しみ方】桜をイメージして見てください。

審査員講評

作品「sakura」を佳作としました。桜の外形というよりは、すっきりした桜色のイメージ表現としての作品です。鏡筒には、マゼンタ色に近い桜色が選ばれています。小さな粒々が感じられる地肌感のある色紙です。大部分は、この紙なのですが、鏡筒の両端に小さくて細かな桜色のオブジェクトを配置して、かわいく示されています。

 筒の中を見ると、黒色か暗い緑色のクリップと、小さく鮮やかで透過感のあるピンク色やレモンイエロー色や空色のオブジェクトが、多様な花の形を見せてくれます。さわやかな印象がする光映像です。外観のシンプルさからみると内観の形の多様な世界へと、心が開かれる思いの方もおられることでしょう。美しい体験をさせてくれるすぐれた万華鏡と認め、佳作としました。

佳作

作品名:一輪のコスモス

【のぞく時の注意点】万華鏡を目から少し離して見てください。

【工夫した点】おり紙を2重にして下のおり紙が見えやすくするために上のおり紙をくりぬいた。

【この万華鏡の楽しみ方】ご自由にお楽しみください。

審査員講評

作品「一輪のコスモス」を佳作としました。外観は、コスモスの花の紫色と、金色の透かし模様が貼りあわされている万華鏡です。高貴な印象がして、多くの人が親しみを持って、触ってみようかなと思うでしょう。折り紙を2重にして下の折り紙が見えやすくするために上の紙をくりぬいたそうです。

 万華鏡を覗いてみると、コスモスの花の印象が次から次へと提示される世界です。小さな紫色の花形オブジェクト。うんと小さな淡い色のピンク色や空色のオブジェクト。紫色のクリップや金色のクリップなどが入れられています。これらが合体してコスモスの花を連想させます。たくさん植えられているコスモス畑を次々に綺麗だなといいながらお散歩するようですが、一輪とのことなので、時間を追って変化するコスモスと捉えるべきかもしれません。繊細ですが、強い印象を放つコスモスを楽しめる万華鏡と言えるでしょう。コスモスの相貌の豊かで多様なありかたに到達している作品と認め、佳作としました。

佳作

作品名:和

【のぞく時の注意点】おびの部分をつぶさないように持ってください。

【工夫した点】立体感を出しました。

【この万華鏡の楽しみ方】外の立体感やもようをみたり、中をみたりして楽しんでください。

審査員講評

作品「和」を佳作としました。万華鏡が着物を着て、お太鼓結びの帯(おび)をしている大変ユニークな万華鏡です。着物は、千鳥格子の柄に赤色や黄色の花や緑の葉っぱが少し見える柄です。この着物に、白地に線状の金色の模様の帯をしているのです。細い朱色の帯締めが印象的で、帯が立体感があり、トータルとしては、凛と引き締まった和服の粧い(よそおい)の万華鏡と言えるでしょう。

 万華鏡をのぞくと、和の新しい模様が無限に提示されます。オレンジ色のクリップも鏡の効果で、3角形や6角形等を提示していますが、独自なオブジェクトとしては、黒い細かな平行線で構成されたオブジェクトが面の美しい表現となっています。色相だけでなく線を重ねた明度の力を和の中に感じることができます。斬新な和の感動を提案した力量を認め、佳作としました。

佳作

作品名:にこちゃんマークを探せ!

【のぞく時の注意点】高速回転するとにこちゃんマークが見えなくなる可能性がある

【工夫した点】色をぬらないところがあったり万華鏡の中ににこちゃんをいれたりはったりした

【この万華鏡の楽しみ方】にこちゃんが何人いるか数えよう

審査員講評

作品「にこちゃんマークを探せ!」を佳作としました。斜めの格子に色鉛筆でカラフルに色をつけた万華鏡です。格子も赤色や紺色や空色など色味を丁寧に変え、矩形部分に色を塗っておられます。お手製のドローイングは、とても好感が持てるものです。その上に、赤色や黄色や青色のにこちゃんマークがあります。

 中をのぞくと、緑色のにこちゃんマークが、万華鏡で様々な構成の形になります。ひとつのにこちゃんの笑顔が、何倍にも増殖する場合があります。黄色のクリップや紫色のシート、数々の色味の淡くて細かなオブジェクトがにこちゃんマークの世界を作り出します。

世界によくあるにこちゃんの世界ではない世界がこの作品にはあります。万華鏡に背中を押され、手のドローイングで親近感を増幅したユニークな万華鏡と認め、佳作としました。

主催:京都万華鏡ミュージアム