子ども万華鏡大賞

作品名:くじゃくのパタパタ万華鏡

【のぞく時の注意点】回しにくいので気をつけてください。

【工夫した点】くじゃくの羽をパタパタできる所と羽の後ろにキラキラのオレンジ色をつけた所

【この万華鏡の楽しみ方】棒をひっぱるとくじゃくの羽が下りて背景の色がかわります。

審査員講評

 「くじゃくのパタパタ万華鏡」は、お箸をVの字にした支持棒を操作することで、くじゃくの羽が広がっていく大変ユニークな万華鏡です。この作品に教えられるのですが、クジャクの羽が広がるという動作は、クジャクの顔に対して、背景にどんどん高くなっていく羽の見事さにあるということです。驚くことに、くじゃくの羽の上下で万華鏡のミラーシステムの受光部の色と明るさが変えられるようになっています。万華鏡を覗くと、クジャクの羽の模様を思わせる様々な模様が展開されるのですが、閉じているときはオレンジ色です。上げていけばいくほど、真底明快な明るい世界に導かれるのです。羽が広がっていくに従って、無段階に明るさまでかわり、宝石の結晶の変化のような気持ちを無限にしてくれる世界にわれわれを連れて行ってくれるのです。身近な材料でできあがっていて、多くの方が驚きながら目を疑うでしょう。こんなにしてみたい。周りの方にお話をしながらお作りになられたのかもしれません。かなり時間や対話を重ねて完成度が高まった大変ユニークな作品と思われます。

京都市教育長賞

作品名:きらっと きらめき☆

【のぞく時の注意点】ゆっくりまわしてね。同じもようがつづいたら、たてにふってね。

【工夫した点】上と下にキラキラ光るビーズをつけたこと。海でひろったシーグラスをつけたこと。中も外も青色にしたこと。中にもシーグラスを入れたこと。

【この万華鏡の楽しみ方】海をおもいだしながらたのしんでね。

審査員講評

 「きらっと きらめき☆」は、白色粘土の上に、透明なセルリアンブルーのオブジェクトや、「海からの贈り物」「海の宝石」などと言われる緑色のシーグラス(波などに揉まれてガラス片の角が柔らかくなったガラス片)が埋め込まれている大変印象深い万華鏡です。粘土は、どこか漆喰の壁を連想させ、明るい海の生活を連想させます。まるで、地中海の海の出来事といった印象の強い作品となっているのです。覗いてみると、色の連想は嘘ではなかったよと言ってくれるように、透明と紺色、緑色の織りなす光の美しい世界が見る人を襲ってきます。一瞬の夏の思い出が、無限の光の連鎖で広がっていく素晴らしい万華鏡となりました。

京都市教育長賞

作品名:おつきさま

【のぞく時の注意点】筒がやわらかいので優しく持ってください。ビーズとかがこぼれないように気をつけてください。外側を外したい時はやぶけないように気をつけてください。

【工夫した点】外側を夜空にして、その中に大きなおつきさまとたくさんの星を入れました。外側は外れるので、とったら星がよく動きます。おつきさまみたいな黄色のセロファンを貼っているので中をのぞくとキレイです。月にはうさぎがいるので中にうさぎの形のもいれました。

【この万華鏡の楽しみ方】夜空のおつきさまを楽しんでください。明るい方に向けるとキレイです。外側を外して星を動かしても楽しいです。

審査員講評

 作品「おつきさま」は、外側を夜空にして、万華鏡の中を大きなお月様と沢山の星で創作しています。覗くと、ウサギや黄色の星、数多くのオブジェクトが濃密な重なりを見せている世界に出くわします。色は、淡く薄い色彩ですが赤・緑・青、シアン・マゼンタ・イエローと明快な純色や原色系を配置し、実はかなり鮮やかなおつきさま世界となっています。基調色を黄色としながら、小さなボタンのオレンジ色とウサギの陰のような黒が引き立ちます。さっぱりとした夜空に、濃密な月世界という、実世界とどこか深いところで通じる感動的な作品といえるでしょう。 

京都万華鏡
ミュージアム賞

作品名:しんかんせん

【のぞく時の注意点】特にありません。

【工夫した点】新幹線で京都(祖父母宅)へ行ったのが楽しかったので、形にしました。お気に入りのビーズをいれたことと、新幹線の形を作るところを工夫しました。

【この万華鏡の楽しみ方】万華鏡をのぞいたり、走らせたりして遊べます。

審査員講評

 作品「しんかんせん」は、新幹線で京都に来られたことが楽しかったのでそれが形になった万華鏡です。万華鏡は、角がなめらかになった新幹線の形状を連想させます。どこかゆったりした形が白く塗られており、この車両に乗車するように、一方に笑顔の6人、もう片方に5人の人の顔が描かれています。髪型も一人として同じ顔はなく乗車中の家族の方の個性までもが表現されています。旅行が万華鏡の形に生まれ変わる。この作品の魅力はそこにあり、持てば持つほど鑑賞者まで嬉しい気持ちにさせる新しいジャンルを打ち立てた作品となっています。覗くと透明感の高い背景に、鮮やかな赤色と緑色、青色と黄色の補色を感じさせるオブジェクトが厳選されて入っています。少しおめかしをして旅をした嬉しい開放感が感じられます。新幹線の旅の状況性と、それがこのような生き生きとしたものだという2つの世界の通じ合いが、この作品の大きな魅力と言えるでしょう。

審査員特別賞

作品名:ペンギンの万華鏡

【のぞく時の注意点】特にありません。

【工夫した点】私はペンギンが大好きなので、外側は海をイメージしてペンギンとヒトデ、魚、ペンギンの卵を作りました。書いたペンギンがもっているのは、ペロペロキャンディーです。去年も作ったので、今年はビーズが動きやすいようにビーズの量に注意して作りました。

【この万華鏡の楽しみ方】いろんな形やもようの入っているビーズを中に入れたので、回しながら見ると色んなもようが楽しめます。

審査員講評

  作品「ペンギンの万華鏡」は、ペンギンへの大好きな思いが万華鏡となっています。万華鏡には、紙粘土で、ペンギンとペンギンの卵、ヒトデ、魚などがしっかりと表現されています。ペンギンの色も青・紫・ピンクとカラフルです。青いペンギンはなんとペロペロキャンディを持っているのです。年齢を視野に入れると、かなり頑張った様子が推察されます。大好きなペンギンをつくりたいという強い思いがしっかりしておられて、「どうつくったらよいだろうと」周りの方に相談しながらお作りになったのかもしれません。ペンギンなどモチーフが、とれてしまわないように粘土をしっかりつけておられます。「壊さないように、しかし、しっかりとつけなければいけない」と思い、何度も握って作品にしたのではないでしょうか。粘土が思いに負けてギューと貼り付いています。覗くと、横から光が入り、先頭が粘土で造形され閉じられているオイルチェンバースコープなので、暗い背景に輝く、ピンク色を主調色としたなめらかな世界が展開されています。海の中に一瞬光が差し込んだ秘密世界のような姿を見ることができます。こうしたいという思いが大変豊かで、内と外とがピンクに統一された大変ユニークで、まとまりある作品なので審査員特別賞としました。

審査員特別賞

作品名:ちくちくさん

【のぞく時の注意点】うえをむけてまわしてね。そっとさわってね。

【工夫した点】すきな色のきいろをたくさんつかいました。

【この万華鏡の楽しみ方】くるくるはやくまわしてね。

審査員講評

 作品「ちくちくさん」は、好きな黄色を沢山使った万華鏡です。紙粘土に黄色をしっかり混ぜて外壁とし、そこに透明感の高いオレンジ色や黄色や緑色のオブジェクトを埋め込んでおられます。大小様々な様子が美しい作品です。覗くと、基調を外と同じ色調にしておられるのですが、濃い色のオブジェクトが暗くなり、変化のある姿をつくっており、黄色などの色つきクリップが、驚くほどシャープな世界づくりをしてくれています。美しい外面から、一層深く多様な内面へ導かれる万華鏡となっています。シャープな深まる世界づくりを含めた豊かな作品となっており、それを高く評価し審査員特別賞としました。

主催:京都万華鏡ミュージアム