子ども万華鏡大賞

作品名:秘密の宝石箱

【のぞく時の注意点】固定はしていますが、外れる恐れがあるので、内部の装飾品にはあまり触らないでください。

万華鏡は逆向きにせず、上からのぞいてください。蓋だけを持つと重さで外れるので、箱本体を持ってください。

【工夫した点】内部のアクセサリーや鏡などの装飾品を全てレジンで手作りしました。また万華鏡の中にもレジンの板を砕いて入れて、宝石感を出しました。外を控えめに仕上げて、開けた時に宝石の煌びやかさが際立つようにしました。

【この万華鏡の楽しみ方】軽く振ったり、ゆっくり回したりしてお楽しみください。宝石は一つ一つ全て違う色や模様なので、宝石にもぜひ注目してみてください。

審査員講評

 作品「秘密の宝石箱」を子ども万華鏡大賞としました。宝石箱の万華鏡です。

 この作品は、上質感のある紺色のフリル風の布を直方体の全面にはって、落ち着いた感じを伝えています。宝石箱というと「どんな宝石が入っているのだろう」と思い、金色の鍵穴がある方から開ける瞬間がドキドキの時です。空けてみると明るい箱内として演出され、小さな鏡や数々の宝石が楽しそうに入っています。

 この中のもの達は、レジン(樹脂)で手作りされたそうです。「エポキシレジン」「UVレジン」の2種類があるそうですがどちらだったのだろうと思います。ここまででも感動的ですが、秘密の万華鏡には、面のある細かなオブジェクトが入っていて、赤色やオレンジ色や空色などの大変美しい光映像が展開されるのです。面のあるオブジェクトは、小さくても面が光り存在感があります。動かすと形が容易に変わります。この映像は衝撃的といってもよいほど美しい光映像です。

 秘密の宝石箱という作品名でしたが、外観の抑えめの印象から蓋を開けると宝石たちの姿を見るわけですが、本当の美しさの秘密は、光体験の美しさの秘密性だったのです。

 しっかりした表現力と価値意識を高く評価して子ども万華鏡大賞としました。

京都市教育長賞

作品名:金属の一滴

【のぞく時の注意点】

【工夫した点】オブジェクトが液体金属に見えるように2つの液体の分量とパウダーを調整しました。

【この万華鏡の楽しみ方】①よくふって回しながら見る

②よくふって10~15秒回さずに見る→金属がまるで生きているように拍動する。

2通り楽しめます。

審査員講評

 作品「金属の一滴」を京都市教育長賞としました。外観は、純黒の筒に金属風のオブジェクトをスパイラルに整然と並べた万華鏡です。

 オイル型の万華鏡ですが、2層にしておられます。万華鏡の先端部分は、金色のオブジェクトを入れた容器を位置づけ、最先端部分を白色にして外観を通さないようにしています。次に、見る側に透明感の高い材料を入れた容器をつないでいます。透明感の高い方が目に近い側です。

 覗いてみると、金色の像が遠景に、白色や透明な形が前面で変わっていっています。形の変化のグラデーションが絶妙で、スムーズな変化は何度取り上げても取り上げすぎることではないほどの魅力を持っています。

 金属色とパールのような粒立ちの色が登場する万華鏡は画期的であり、その意欲と成果を高く評価して京都市教育長賞としました。お一人で2作品応募されておりますが、評価を足してというのではなく、2作品が揃って高い成果にあると判断しています。

京都市教育長賞

作品名:雪の結晶

【のぞく時の注意点】

【工夫した点】白と青の液体を使って雪の世界を表現しました。

【この万華鏡の楽しみ方】よくふって回しながら見てください。

審査員講評

 作品「雪の結晶」を京都市教育長賞としました。外観は大小の雪の結晶(対称性世界)がテーマであることを感じさせますが、覗いてみると驚くほどの明暗美の万華鏡なのです。大きなポイントは、オブジェクトが固体ではなく、液体(固体ではなく、一部気体の可能性もある)だということです。コロコロとした変化のないオブジェクトではなく、様々な局面が生まれる万華鏡なのです。そこは、美しさとしては歴史的な聖堂の天井(画)を見るようなのですが、手を少し動かす度に違った形に変わっていく様子は、既存の文化財では説明ができない世界なのです。まさしく液面同士のつくる驚愕の神秘体験の世界がこの万華鏡なのです。

 筒の外観も美しく仕上がっています。まず、ベースに大きな雪の結晶の印刷された紙が貼られています。その上に小さな雪の結晶がどんどん貼られ、雪の降る世界の遠近感が感じられるようにされています。一見綺麗な雪の結晶の紙だなと思われますが、作り込まれた表現なのです。

 中を覗いてみると、色味の全くない無限の明度の世界がそこにはあります。驚くべき美しさで見る人は息をのむことでしょう。固体ではないオブジェクトという発想の転換がいかに大きなことであるか。液面同士は、ぷるんとした丸餅状態の境界面を作っています。この局面がゆらゆらと無音で常に動き、局面的な形を変化させていくのです。液面では光が反射するので、キラキラとまばゆい体験も同時に起こっています。この仕組みが2層になっている可能性もありますが、外観からは特定できなかったので大きな方向性を述べるにとどめます。

 このように、すぐれた材料に着目し、それを一貫した美の世界に統一した成果はかなり高く、京都市教育長賞としました。

京都万華鏡
ミュージアム賞

作品名:和モノトーン

【のぞく時の注意点】

【工夫した点】色を白と黒に統一した。

【この万華鏡の楽しみ方】光に向けてのぞいてみる。

審査員講評

 作品「和モノトーン」を京都万華鏡ミュージアム賞としました。和風を押し出しながら内部の光表現は、黒と白のモノトーンに絞り込んで美しさを際立たせた、モダンアートを感じる万華鏡です。外観は、紫色と金色の紐を結んだ水引で飾っています。筒の内部の光映像が、和の美しさを目指したものであることを予感させます。

 ドライタイプの万華鏡で四角形の黒色のオブジェクトと白色のクリップが入っており、覗いてみると端正で明快な白色と黒色の世界を見ることができます。白色と黒色の世界というと、単調と捉える方がおられるかもしれませんが、強烈な押し出しの強い映像で、形がこれほど変わるものかと思われるくらいの状況です。

 着想を実現する姿勢を高く評価して、京都万華鏡ミュージアム賞としました。

京都万華鏡
ミュージアム賞

作品名:夜空の海

【のぞく時の注意点】なるべく下のほうを持ってください。

【工夫した点】ビーズを天の川みたくしてみました。

ところどころ動くビーズをつけました。

【この万華鏡の楽しみ方】角度をかえて見てください。

審査員講評

 作品「夜空の海」を京都万華鏡ミュージアム賞としました。夜空を思わせる穏やかさを持つ群青色の万華鏡です。

 外観は、柔らかい感触が出るように起毛した群青色の布が全面に使われています。その上に、ピンクのハート型や星形や小粒のパールなどのオブジェクトを配置し、さらに複数の星達が透明の球体に入ったオブジェクトも使われています。ぶらりと下がった様子がかわいく、目を引きます。接眼部分には、白色のフリルの布を群青色のリボンで結んだように仕上げてきています。ドライタイプの万華鏡ですが、オブジェクトの数を厳選し、動きやすい状況を作っています。 

 覗いてみると小さめの空色や群青色のオブジェクトが、すっきりとした形をとどけています。フェルトのようなやさしさをとどけながら、静かな中にも変化を発見することの大切さを教えてくれる万華鏡を高く評価して京都万華鏡ミュージアム賞としました。

審査員特別賞

作品名:カラフルフラワー

【のぞく時の注意点】板は優しくまわしてください。

【工夫した点】いろんな色のビーズやクリップを入れました。

まるい板をまわすといろんな色で楽しめます。

【この万華鏡の楽しみ方】まわすとカラフルなお花が見えます。板をまわすともっとカラフルなお花を見ることができます。

審査員講評

 作品「カラフルフラワー」を審査員特別賞としました。万華鏡の先端に車輪のような円盤(ホイール)を取り付け、回してできる映像を楽しむ万華鏡です。

 外観は、黄緑色をベースに赤色や紺色の大きな花がちぎり絵で表現され、そこにピンク色の羽根の蝶が1匹やってきています。空を象徴するのでしょうか。ホイールは空色で表現されています。3つの大きな円が切ってあって、黄色の紙と薄い緑色の紙が貼られている箇所と、紙が貼られていない箇所があります。どちらかというとゆったりと構成された外観です。ドライタイプの万華鏡で、クリップや細かで多彩な色(赤色を含む)のオブジェクト、透明感のある群青色のオブジェクトなど多くのオブジェクトが入っています。

 覗いてみると、クリップの作り出す数多くの線状の光映像に驚かされます。背景の色の違いでも、オブジェクトの姿がかなり変わります。万華鏡というと、どうしてもカラフルビーズのようなオブジェクトがつくりだすイメージから抜け出せなくなっているのだと思われます。外観と打って変わって、沢山の線で構成された植物世界が提案されているのです。制作段階で「見つけた!」と思ったでしょうか。「これでいこう!」と思ったでしょうか。沢山の思いや感じ方をしながらつくられたでしょう。このような素晴らしい取り組みを高く評価して審査員特別賞としました。

佳作

作品名:海の中

【のぞく時の注意点】外についている物に注意

【工夫した点】青いシートを使ったこと、粉で砂を表現したこと。

【この万華鏡の楽しみ方】ヒトデがどこにいるかを探せる。

光の方に向いてのぞくと青色がきれいに見える。

審査員講評

 作品「海の中」を佳作としました。海が表現された万華鏡です。

 空色の中央に白色の雲のような模様のある紙をベースに、貝殻や木々のオブジェクトで表現され、先端部分には、黄色の紙の上に金粉を使って砂浜が表現されています。

 この万華鏡は、セルタイプのドライ型の万華鏡です。先端に深い色の青色の透明シートをかぶせて、少し暗闇を持つ、海の中の神秘が表現されています。

 覗いてみると、群青色の全体像の中に、小さなオブジェクトが形をどんどん変えていきます。小さなスパイラル状のオブジェクトが入っているので、コロコロと転がる様子が見て取れます。海の中の本当の姿を垣間見るような万華鏡と言えるでしょう。先端を深い色のシートで覆って、海の中が表現できるのではないかと発想したり、オブジェクトを選んで雰囲気を出しながらつくられたでしょう。このような素晴らしい取り組みを高く評価して佳作としました。

佳作

作品名:不思議な雰囲気の万華鏡

【のぞく時の注意点】不思議な雰囲気を楽しんでもらいたいので、できるだけ暗い所でゆっくり回し、模様をじっくり見てもらいたいです。

【工夫した点】中に入れる物を少なくした上で、どれだけきれいに見えるかを意識して作りました。
【この万華鏡の楽しみ方】中は、できるだけ色の数を少なくし、少し不思議な雰囲気を作りました。

外は、色々な色を使って花畑をイメージした明るい感じを楽しんで下さい。

審査員講評

 作品「不思議な雰囲気の万華鏡」を佳作としました。正方形やクリップの直線、透明な球体など、オブジェクトを厳選したところから一つの万華鏡でも多彩な形が生まれることに気づかせてくれる万華鏡です。

 外観は、赤色の背景に小さな白い花模様が纏綿とする紙をベースにその上に、やわらかなグラデーションや黄色の模様(波文様、菊文様、星模様など)の入った小紙片を重なりも許しながらコラージュ(貼る)しています。ドライタイプの万華鏡で、少数に厳選したオブジェクト(赤色のクリップ、レモンイエローと薄紫色のビーズ、小さなピンク色、小さな矩形のオブジェクトを含む)を入れたそうです。

 覗いてみるとオブジェクトの数を減らした効果か、よく形が変わります。また、同じ形の系列ではない形も発見できます。「不思議な雰囲気」とは、そのことをおっしゃっているのかもしれません。コラージュする過程や厳選過程で、判断したり解釈する力を存分に発揮された点を高く評価して、佳作としました。

佳作

作品名:和風のうさぎ

【のぞく時の注意点】荒く扱ってしまうと、リボンがほどけたり、紙が破けてしまうので気を付けてください。

【工夫した点】色はパステルカラーを中心にして柔らかい感じにしました。
【この万華鏡の楽しみ方】明るい所に向かって回して見てください。軽く振って見ると、またガラッと景色が変わります。

審査員講評

 作品「和風のうさぎ」を佳作としました。輝く緑色の兎のオブジェクトや同系色の小さなオブジェクトなどの作り出す光映像が美しい万華鏡です。

 外観は、白地に和風の文様が飾られている紙でベースをつくり、赤色と金色の紐の水引を飾っています。和の端正な世界が伝わってくるようです。ドライタイプの万華鏡ですが、中に緑色の兎と黄色の蝶や白いクリップや数々のオブジェクトが入っています。

 覗いてみると、兎の形や蝶の形が3面の鏡で増幅した興味深い光映像を見ることができます。オブジェクトの量をかなり試して決めていかれたのか、上手く変化する万華鏡となっています。自分自身で独自に思いや考えや感じ方を持って、取り組まれたことを高く評価して佳作としました。

佳作

作品名:たこやき

【のぞく時の注意点】ちょっと気持ちがわるいです。

【工夫した点】よりグロテスクに。

【この万華鏡の楽しみ方】回す。

審査員講評

 作品「たこやき」を佳作としました。この作品は、身近なものの美しい鉛筆デッサンが特徴の万華鏡です。

 白色を背景として、誠実感あふれるしっかりとした鉛筆デッサンの作品が並びます。電話やチェリー、りんご、タコの風合いのもの(置物かお菓子か食べ物)などが描かれています。この万華鏡はドライタイプの万華鏡で、複数の赤いクリップや白色の星型などのオブジェクトなどが入っています。

 覗いてみると、赤色クリップのオブジェクトがつくる線的世界が、見る人に強烈に迫ってくるのです。小さな星オブジェクトを白色にして存在感を抑え、どこまでも赤色の線が重なる光映像を提示する万華鏡は、圧巻でもあり見事でもあります。万華鏡の外部と内部の共通点は、線を重ねたり並べたりして迫っていく点です。

 制作過程で、考えたり思ったり感じたりしたことも多かったと思います。オブジェクトの特徴を解釈し、こう扱ってみようと考えたこともあったと思われます。これら貴重な成果を高く評価して佳作としました。

佳作

作品名:金の雪

【のぞく時の注意点】ない。

【工夫した点】金と白(銀)を意識して作った。

雪のけっしょうに似せた。

【この万華鏡の楽しみ方】外のデザインと万華鏡の中があっている。

審査員講評

 作品「金の雪」を佳作としました。この作品は、白色を背景に金色と銀色のオブジェクトが配置されている綺麗な万華鏡です。

 万華鏡の筒の両端から小さな円形の金色のオブジェクトを輪の状態でつなげ、その最終端に星(花)型のオブジェクトが配置されています。あたかも、先端が星(花)の形の塔がいくつかの間隔で立っているようです。

 この万華鏡は、ドライタイプです。オブジェクトとしては、大小のパール色のオブジェクトや、金色の星やオブジェクトが入っています。

 覗いてみると、小粒のパールのグループの中に金色のオブジェクトが光っている構成になっています。小粒が動きやすく、容易に次から次へと雪の結晶のような光イメージを見ることができます。オブジェクトの種類が万華鏡の内外で近いので、動きようのない外のデザインが、内側では動いていく大変興味深い作品になっています。制作過程で金と銀の配置や分量を考え、貴重な様々な判断や解釈をされたことでしょう。この取り組みを高く評価して、佳作としました。

佳作

作品名:森のこもれび

【のぞく時の注意点】のぞき穴とは反対にある紙の部分をのぞく前に軽くしぼませてから光源の方を向いてのぞいてください。

【工夫した点】のぞき穴とは反対にある二重の紙があることで、こもれびのようになっています。

【この万華鏡の楽しみ方】のぞくとこもれびを感じられます。

審査員講評

 作品「森のこもれび」を佳作としました。この作品は、森のこもれびが演出されている万華鏡です。

 筒に、緑色の葉のある木、黄色の背の高い木、赤色の木といった3色の木のオブジェクトと、その木を巻くように葉を連想させる3色の薄い緑色の紙が選ばれています。この万華鏡は、セルタイプのドライ型の万華鏡です。小さめの黄緑色と緑色のオブジェクトが入っており、セルの先端が、緑色の紙が時に応じて覆うようになるため、木漏れ日が体感できるようになっています。

 覗いてみると、明快な緑のオブジェクトの形達に、うっすらと色の影が生じます。球体状のオブジェクトは、コロコロと転がりやすいので、次々と緑色の違った形を見せてくれます。制作過程で、自分で木もれびを取り上げて発想したり、作り上げる手順を組み立てたり、木もれびという森の環境の良さをつくりあげた点がかなり貴重であり、この取り組みを高く評価し佳作としました。

主催:京都万華鏡ミュージアム