子ども万華鏡大賞

作品名:昼と夜のジャングルをのぞこう!

【のぞく時の注意点】かざりがたくさんついているのでビーズの入っている先のぶぶんをもって、かた方ずつ回してください。右目と左目のどちらにしゅうちゅうするかで見え方がかわります。

【工夫した点】①ジャングルのようなけしきになるように ざいりょうをえらんでドライとオイルの二つをかさねたこと。

②ちく光ビーズをつかって くらいところでもたのしめるようにしたこと。

③たんけんしている気分になるように そうがんきょうの形にしたこと。

【この万華鏡の楽しみ方】明るいところではみどりのジャングルの中にカラフルな花か大小の青いちょうをさがして、くらいところでは ほし空をたのしんでください。

審査員講評

 作品「昼と夜のジャングルをのぞこう!」を子ども万華鏡大賞としました。どこにもない双眼鏡とジャングルが一体となった、冒険をテーマとした万華鏡です。

 この作品は、画期的な点が3点あります。1点めは、ジャングルの冒険をテーマに万華鏡ができるのではないかと考えた点です。作品(成果)としての特徴だけでなく、エントリーシート内の<工夫した点>としても、「探検をしている気分になるように、双眼鏡の形にした」と明確に述べておられます。2点目は、ドライとオイルを合体させてみてはどうか。光映像はどう見えるのだろうと考えた点です。大変、興味のそそられるところです。3点めは、立体作品をキャンバスにして、作品全面にドローする喜びという、絵画行為が作品に溢れていることです。これは、作者が意図したか、無意図であったかは不明ですが、立体性を超えて、根源的な絵画行為が作品に施されているのです。

 双眼鏡型の筒は、プラスチック製の木や葉っぱで飾られています。黄色い羽根なども加えられジャングルに棲むオウムなどのような極彩色の鳥が生活する場所を感じさせます。一方、双眼鏡型万華鏡を下から支えるケースが、単なる付属品ではなく、万華鏡を置いた全体の姿が、ひとつの作品(=絵や彫刻)になるように絵が描き加えられています。この点は、画期的と言えるでしょう。

 万華鏡の内部を見ると、2つの筒の先には、縦に重なるようにドライ型とオイル型のチェンバーがつながっています。光の映像が重なって見えるのです。面白い仕組みだと考えられます。

 意欲的で工夫を重ねた取り組みと成果を高く評価して子ども万華鏡大賞としました。

京都市教育長賞

作品名:ジンベイザメのおくりもの

【のぞく時の注意点】ヒレやエラにあたらないように体の後ろ側を持つ。折れやすい。口の部分はせんさいなので、ガラスの筒を動かす時はやさしくあつかう。

【工夫した点】持ちやすいように軽くつくり、口にくわえているガラスの筒に光が入りながら見えるような形にした点。筒の中の仕組みも工夫しました。

【この万華鏡の楽しみ方】みながら かたむけると見え方がかわり、ガラスの筒をくるくる回したり、左右に動かすと また見え方がかわって楽しめるようにしました。

審査員講評

 作品「ジンベイザメのおくりもの」を京都市教育長賞としました。大変美しくもユーモラスなジンベイザメの万華鏡です。紙粘土で素晴らしいプロポーションのジンベイザメを表現しています。このジンベイザメがオブジェクトが入っている筒をくわえています。

 白い斑点、海を思わせるセルリアンブルーの色や、ゆったりとした形から醸し出される形は圧巻です。手作りのオリジナルの素晴らしさは、大人がつくっている水族館等で販売されている既成のジンベイザメとは存在感が格段に違います。実際のジンベイザメの体の色は、かなり暗い緑色ですが、明るい青色にすることで海に棲む動物だとダイレクトに伝わってきます。

 この作品のシステムとしては、密閉された円柱・棒状の容器(ワンド)にオブジェクトを入れたワンドタイプです。ワンドの中には、自身でつくったオブジェクトが入っているようです。どんどん海の深い領域に入っていくような効果が見て取れます。これまでみるように、彫刻家のような的確で卓越したイメージ表現と、海をイメージさせる万華鏡表現を統一させた点を高く評価して京都市教育長賞としました。

京都万華鏡
ミュージアム賞

作品名:ラニー万華鏡

【のぞく時の注意点】ゴツゴツした所に手をあてない。

【工夫した点】ゴツゴツさせてタイヤをつけても見やすくする所ラキューでワニのような形にした。

【この万華鏡の楽しみ方】転がして遊べるし、万華鏡のきれいさを見る

審査員講評

 作品「ラニー万華鏡」を京都万華鏡ミュージアム賞としました。「さぁ、走るぞ!」と言っているような楽しいワニの形をした3輪(見方によっては4輪)の自動車型万華鏡です。ブロックを効果的に使い、タイヤで目を表現するなど、大変ユニークな別世界のマシーンになっています。

 オイル型の万華鏡で、オブジェクトが透明な赤色や紺色や黄色など、同じ大きさに近い球体のオブジェクトが入っているのでスムーズに変化していきます。オイルが半分くらいなので液面がきらめいて、明快な色味と一体となってはっきりした光世界をとどけています。おもちゃのような軽快感と明快な万華鏡世界が、万華鏡の新境地を切り開いたと高く評価して京都万華鏡ミュージアム賞としました。

審査員特別賞

作品名:海のまんげきょう

【のぞく時の注意点】とくにありません。

【工夫した点】まわりに魚が楽しそうに泳いでいるようにしました。なみやこんぶ、わかめを作って本当の海みたいにしました。

【この万華鏡の楽しみ方】万げきょうの中は、青は海、白はなみのあわ、緑はこんぶやわかめをあらわしています。外とも中も海を楽しんでほしいと思います。

審査員講評

 作品「海のまんげきょう」を審査員特別賞としました。色画用紙の貼りを効果的に使って海の中を表現した万華鏡です。波は青色の画用紙でつくり、下だけ貼ってあるので持つ度にゆらゆらと動きます。波が動く様子が表現されました。その波間には、目玉がぎょろりと動くピンク色や黄色や空色の魚たちが泳いでいます。ぎょろり目の魚たちが、波間に見え隠れする様子が大変楽しいです。

 さらに、3本ぐらいの海草が同じようにつくられているのですが、織りを繰りかえしているので、波よりも一層多く縦方向にゆらゆらしています。この海草に守られてか、目玉はペン描きで少し小さめの魚たちが8匹ほど楽しそうに笑顔で泳いでいます。

 この作品は、ドライタイプの万華鏡ですが、覗いてみると小さな緑と空色などのオブジェクトが入っていて、魚が棲む目の前の海の中が感じえられると捉える捉え方もできると考えます。紙の性質を最高に生かしながら海の姿を捉えることに成功した点を高く評価して、審査員特別賞としました。

審査員特別賞

作品名:万華鏡のプリンセス

【のぞく時の注意点】かみの毛が抜けないように丁寧に扱う。

【工夫した点】ドレスを段々に貼るところ。

【この万華鏡の楽しみ方】プリンセスがおどっているように回してください。

審査員講評

 作品「万華鏡のプリンセス」を審査員特別賞としました。フリルの可愛いスカートのプリンセスの万華鏡です。プリンセスは、明るいベージュの髪を後ろで綺麗に一本に編んでいます。にこにこの笑顔はオレンジ色で、唇は印象深い赤色です。また、明るい紫色の服を着ています。フリルは、スカート部分だけでなく、背中の帯状の部分にもあります。そこにはピンク色のリボンもつけてあります。一本の帯でスカートを支える服のデザインでしょうか。

 万華鏡を覗いてみると華やかで豪華、そして鮮明な色世界を見ることができます。淡く明るい外の姿とは違う内面世界があるようです。この作品は、オイルタイプの万華鏡ですが、輝くカラフルなビー玉をオブジェクトに選んできており、光表現を美しくしているところに繋がっています。思いや工夫する心を持ち、しっかりと表現されている万華鏡を高く評価して、審査員特別賞としました。

審査員特別賞

作品名:じゆうに見えるかわいいまんげきょうやさん(なつ)

【のぞく時の注意点】したのケースをもちあげないこと。

【工夫した点】ビーズがひっくりかえったり、かさなったりしないように こていしました。なつっぽいビーズをいろいろいれました。

【この万華鏡の楽しみ方】さんかっけいの大きいまんげきょうで、したにある、ビーズをみてね。

審査員講評

 作品「じゆうに見えるかわいいまんげきょうやさん(なつ)」を審査員特別賞としました。ケースに入った8種類ものカラフルビーズを鑑賞する人が自分で選んで見ることができる万華鏡です。8種類は、ポンポングループ、キャンディグループ、キラキラぼしグループ、なつまつり(キャンディのイメージかもしれない)、なつ(青色やリボンのオブ゙ジェクトなど)、チョコレートグループ(M&MSの赤色、空色、黒など原色のマーブルチョコレートかそれに似たオブジェクト)、フルーツグループ(苺、リンゴ、キウイフルーツなど)、おはなばたけグループです。万華鏡は、3面の鏡だけのシンプルですが美しい万華鏡で、そこにできる光映像は、楽しさいっぱいの世界だと言えるでしょう。楽しいオブジェクトを研究して準備したこと、さらに選べる楽しさをを究明した姿勢を高く評価して審査員特別賞としました。

佳作

作品名:雨あがりの森

【のぞく時の注意点】鳥の巣から白いたまごと黄色と青いとの親鳥を落とさないように気をつけます。

【工夫した点】万げきょうのつつに木の皮をつけて本物の木に見えるようにしました。葉はモールとセロハンをくみあわせて雨あがりのキラキラを出しました。

【この万華鏡の楽しみ方】万げきょうをまわすと時々青色がでてきます。雨あがりの青空をみることができた人はラッキーです。

審査員講評

 作品「雨あがりの森」を佳作としました。卵の巣がある木の姿をした万華鏡です。モールがキラキラすることで雨あがりの木を表現しています。木は、黄土色のベースに茶色の切片を何個も貼り木肌感をつくっています。また、麻紐を木に巻いたり、卵の入っている巣の自然感を演出しています。葉っぱの部分を緑色のモールで表現し、銀色のモールで雨のキラキラ感を表現しています。

 万華鏡を回すと木の葉の連想でしょうか、緑色の光映像が展開します。また、時々、青色がでてくる場合があるそうです。雨上がりの青空を見る幸せ体験だそうです。本作品には詩人のような捉え方が豊かで、その点を高く評価して佳作としました。

佳作

作品名:オシドリの万華鏡

【のぞく時の注意点】明るい所でのぞくときれいです。

【工夫した点】オーブン粘土でオシドリとオシドリの好きなドングリを作って、かざりました。万華鏡の中のビーズもオシドリの色を使いました。

【この万華鏡の楽しみ方】オシドリの色のビーズと金色のチェーンがとてもきれいです。

審査員講評

 作品「オシドリの万華鏡」を佳作としました。おしどりがモチーフの万華鏡です。群青色の音符や黄色の星などとが一緒におしどりと棲んでいる万華鏡で、独特の水面世界を感じさせる作品です。セルリアンブルー色のぐるぐるは、水面のぐるぐるした流れでしょうか。他にはない独特な感じがします。

 覗いてみると、ドライタイプの万華鏡に黄金色の鎖や小さな暗い色のオブジェクトが入っており、ひとつの受け取り方ですが、夜に光る湖面のイメージがあります。万華鏡を支えるベースは、丸い石の岩場に草が生えている姿がつくられています。

 湖か池でおしどりが生活する様子が、物語となって語られたような作品となっており、独自な捉え方を評価して佳作としました。

佳作

作品名:お花と金魚の万華鏡

【のぞく時の注意点】ふる時は、そっとふってください。

【工夫した点】3Dペンで万華鏡の中に入れる部品を作りました。ビー玉を入れて、夏っぽいイメージで作りました。

【この万華鏡の楽しみ方】たまに上下にふると、きれいに見えます。

審査員講評

 作品「お花と金魚の万華鏡」を佳作としました。紙粘土のしっかりした色使いが生かされたお花と魚が登場する万華鏡です。色の紙粘土でしょうか。筒での色味を大切にした表現は、力強く明快なリズミカルな印象を与えます。モチーフとしては赤い魚や、花やクローバー、ハートや、即物的でない円やスパイラルなどで表現されています。

 長めのオブジェクトケースが印象深いですが、線状の黄色や空色や白色や緑色のオブジェクトが入っています。3Dペンでつくったそうです。3Dプリンターは、ペン先で溶けたプラスチックが冷えて固まって線状の形をつくる装置です。また、透明なビー玉(カラフルな風車型の色が入っている)と同じく透明な中に色の造形が入っている枕型のオブジェクトが目を引きます。

 覗いてみるとカラフルな線状のオブジェクトが組まれた不思議な形が見えます。明快な色味を生かした積極的な表現にチャレンジした点を高く評価して、佳作としました。

佳作

作品名:うみの万げきょう

【のぞく時の注意点】海のごみをなくしたいという気もちで見てください

【工夫した点】海のようすを作るので魚を入れた

【この万華鏡の楽しみ方】2つの青い紙を入れかえする

審査員講評

 作品「うみの万げきょう」を佳作としました。

 魚が表現されている背景を入れ替えることで、魚の形が見え隠れする海の中を感じる万華鏡です。万華鏡の筒は、ラップやホイールシートもしくはトイレットペーパーの芯などの身近な材料を使い、先端は透明なシートを白い紙で巻いて留めています。また、覗く穴側は、黒い紙を輪ゴムで留めています。

 オブジェクトケースは、筒内が応用されているようです。小粒の青いビーズや少し大きめの色のない透明なビーズが使われています。これらのように、シンプルな材料や仕掛けから、海が見えるとは凄いことだなと感じさせる作品です。そこに魚の姿の断片が見え隠れすると、海はリアルな多様性を秘めて感じられます。

 両手で持って操作する楽しさを実現する万華鏡をつくろうとした、工夫するチャレンジ精神を高く評価して佳作としました。

主催:京都万華鏡ミュージアム