子ども万華鏡大賞

作品名:かがやくエーデルワイス

【のぞく時の注意点】スイッチは矢印の方向に入れる。反対に入れるとオルゴールが鳴らないし、ビーズのかざりがズレていく。

【工夫した点】つゆにぬれてかがやくエーデルワイスをビーズで表現したところ。お花紙でエーデルワイスを作ったところ。【この万華鏡の楽しみ方】スイッチを入れると自動でビーズのかざりが回転してオルゴールが流れる。そっとのぞいて変わっていくもようを楽しむ。

審査員講評

 作品「かがやくエーデルワイス」を子ども万華鏡大賞としました。この作品は、エーデルワイスのオルゴールの音色とともに楽しむ万華鏡です。ガラス瓶がオブジェクトケースに使われており、たっぷりとした液体と数多くのカラフルなオブジェクトがつくり出す、幻想的な光映像の万華鏡です。

 お花紙で白い花弁のエーデルワイスが数多く、実際には8つもの花が咲いています。ドイツ語の歌なので翻訳で色々な歌詞になっていますが、「つゆ」と訳しているものもあり、この万華鏡では、つゆにぬれたエーデルワイスを表現するのにビーズが使われています。この庭にカラフルな石垣のモチーフでしょうか、家のモチーフでしょうか。独特の万華鏡システムがあります。鏡は、正三角形ではなく、等脚三角形としています。透明感のある紫色や空色や透明そのものの世界が、円に近い多角形に見えて、安心や希望を象徴する万華鏡としたかったのかもしれません。

 粘り強く思いを作り上げる創作性を高く評価し、子ども万華鏡大賞としました。つけ加えですが、楽曲エーデルワイスは、『サウンド・オブ・ミュージック』で、子ども達の父親トラップ大佐がギターを弾きながら歌っています。世界に祖国防衛の必要な暗雲が立ちこめる今日、この万華鏡は、色々な意味で命の感動を与える作品として感銘を受ける方がおられるだろうと思います。

京都市教育長賞

作品名:キラキラまんげきょう

【のぞく時の注意点】ない。

【工夫した点】水のりでラメいっぱいコロコロしたのを工夫した。

【この万華鏡の楽しみ方】光を入れながらくるくるした。

審査員講評

 作品「キラキラまんげきょう」を京都市教育長賞としました。この作品は、大小のハート型のオブジェクトや、小粒のパールのような輝きのオブジェクトで表現されている万華鏡です。紫色と空色が微妙に滲んでいるベースに宝石のようなオブジェクトが数多く貼られてキラキラの存在感が表現されています。

 オイルタイプの万華鏡の内部を覗いてみると、赤色や紫色、青色や黄色など多彩な色味の美しい映像が展開されます。小さく動かす度に液面のきらめきが生じ、色達の姿に輝きを加えます。

 作品の内と外が統一感のある「きらめき」を高く評価して京都市教育長賞としました。

京都万華鏡
ミュージアム賞

作品名:宇宙猫

【のぞく時の注意点】耳やひげは、さわらないようにしてください。

【工夫した点】はりがねで、ねこの耳とひげをつけました。

【この万華鏡の楽しみ方】

審査員講評

 作品「宇宙猫」を京都万華鏡ミュージアム賞としました。この作品は、現代美術のようなすっきりとした可愛さ溢れる宇宙猫型万華鏡です。使っている針金はアルミ製でしょうか。少し太めの針金を曲げて、耳と足がつくられています。各部の寸法や角度、曲げられている様子があまりに心にストレートに迫ってくる作品です。金属の線表現とふわふわの純白の綿とボリューム表現とがひとつになって、美しさを伝えてきています。ドライタイプの万華鏡ですが、青色のクリップや緑色のオブジェクト、小さな透明感の高い黄色のオブジェクトなど厳選したオブジェクトで、シンプルで端正な光表現を実現しています。こうしてみようという思いが強く感じられる作品を高く評価して京都万華鏡ミュージアム賞としました。

審査員特別賞

作品名:雪の国

【のぞく時の注意点】気がるにのぞいてだいじょうぶ!!がんじょうです!!

【工夫した点】トイレットペーパーのしんを二つつかって長くした。テープでがっしりとめた。

【この万華鏡の楽しみ方】光に当てて見る。

審査員講評

 作品「雪の国」を審査員特別賞としました。この作品は、トイレットペーパーの芯を2つ使って長くした万華鏡です。どの万華鏡よりも両手で持ちやすい、ピッタリ感が感動的な万華鏡です。先端をどこへでも向けられる感動は、他の装飾的な万華鏡と別の極にある、極めて重要な操作の自由というインパクトが生まれてくることを教えてくれた万華鏡です。

 食品用ラップフィルムは大活躍で、オブジェクトケース部分にも、接眼部分にもカバーとして使われています。オブジェクトケースには、大きな青い星形や黄色い星形の他、球体のオブジェクトが入っています。

 覗いてみると小粒の透明なブルー色と背景色(外光の色)が基調となった光映像が展開されます。握りやすさという着眼点から、どこでも好きなように見てみようという万華鏡のあり方を究明した点を高く評価して審査員特別賞としました。

審査員特別賞

作品名:まきもの

【のぞく時の注意点】

【工夫した点】まきものの中を、ぼくじゅうを使い書いた。

【この万華鏡の楽しみ方】中をくるくるして中身を変えたりする。

審査員講評

 作品「まきもの」を審査員特別賞としました。この作品は、巻物の万華鏡です。外観が巻物に似せてあるのではなく、何十もの線描の違いを描いて見せた作品と太いにじみの線が大雨にも見える作品など数種類の水墨画が筒の外に巻かれています。

 中を覗いてみると透明な赤色の粒のオブジェクトや、透明なピンク色のオブジェクト、さらに透明な紺色の管型オブジェクトや、草をイメージするオブジェクトがつくる光世界が登場します。東洋の形式にチャレンジした取り組みを高く評価して審査員特別賞としました。

審査員特別賞

作品名:To You

【のぞく時の注意点】ブーケを持ち、両目でのぞきこみながらブーケを回してください。

【工夫した点】テーパードミラーシステムを中央に置き周りを造花で囲ってブーケを作りました。紙粘土で作ったスタンドに飾れるようにしました。

【この万華鏡の楽しみ方】ブーケをのぞきこむと、中央に隠れている万華鏡の中にもう一つ、ラベンダーのブーケが浮かび上がります。

審査員講評

 作品「To You」を佳作としました。この作品は、テーパードミラーシステムを使ったブーケの万華鏡です。白い大きな花が3輪の印象深いブーケです。それを淡い赤紫のシートで包み、淡い紺色のリボンでくくっています。

 中を覗くと球状に近い光映像を作り出します。テーパードミラーシステムは、三角柱の片方が細くなっており、球状の映像をつくります。透明感のある紫色と赤紫色、さらに緑色のオブジェクトが織りなす立体感溢れる光映像が生み出されています。このブーケは誰がいつ持つのだろうと興味がわく方が多いことでしょう。難しいシステムをまとめた挑戦を評価して佳作としました。  

佳作

作品名:おりひめとひこ星は、毎年会いたい。

【のぞく時の注意点】取れやすい材料があるのでやさしく持ってほしいです。

【工夫した点】ビーズや花紙などいろんなちがう素材を使ったところ。

【この万華鏡の楽しみ方】いろんな色のビーズや石を入れて、おりひめとひこ星が会えた時の気持ちをそうぞうしながらのぞいてたのしんでください。

審査員講評

 作品「おりひめとひこ星は、毎年会いたい。」を佳作としました。この作品は、七夕のおり姫とひこ星のお話を取り上げた万華鏡です。別れ別れになった2人が七夕の時に会えるお話ですが、2人が会えたときの気持ちを想像しながら見てほしいと願ってつくられたそうです。筒には、真ん中に天の川をつくっておられます。おはじき(ガラス)や星のオブジェクトが貼り込まれています。その両側におり姫とひこ星が多色のお花紙でしょうか。ひこ星の服は、空色と黄色を使って、おり姫の服は、赤色と白色を使って表現しています。頭の髪飾りは、モールと花の形のオブジェクトでつくっています。大変しっかりと作り込まれた万華鏡なのです。

 万華鏡のシステムとしてはドライタイプの万華鏡で、オブジェクトとしては、いろいろな色のビーズや石、そして特筆すべきは星の輪郭に沿って小さい球体が繋がっているオブジェクトが入っています。色には、赤色・マゼンタ色・空色・ピンク色・レモンイエロー色など多彩な色となっています。覗いてみると、これらが組み合わされた新しい形が生まれてきています。七夕への願いをしっかり作り込んでいった点を高く評価して佳作としました。

佳作

作品名:真夏のビーチ

【のぞく時の注意点】ふらないでゆっくりとまわしてください。

【工夫した点】夏と言えばビーチ!と思いビーチにあるものをたくさん作りました。ビーチパラソル、浮き輪、貝がら、チンアナゴ、カモメです。そして海と空の色を変えました。青色のところは空、水色のところは海、色白のところは波です。中に入れたものは海をイメージした色にしました。

【この万華鏡の楽しみ方】外側を見てビーチを感じて、中をのぞいて海の気分を感じてください。

審査員講評

 作品「真夏のビーチ」を佳作としました。真夏のビーチと海の気分を味わえる万華鏡です。

 「夏と言えばビーチ」と第一段階の発想をして、それから連想されるビーチパラソル、ビーチボール、浮き輪、貝がら、チンアナゴ、カモメを登場させました。また、海をセルリアンブルー色、空を青色、波を白色と位置づけました。このように明快に色を位置づけた作品なので、作品も目に飛び込んでくる作風となっています。

 この万華鏡はオイルタイプの万華鏡で、空色や紫色、透明など海がイメージされるオブジェクトが入っています。覗いてみると海の中を思わせるイメージとなっています。外側を見てビーチを感じて、中をのぞいて海の気分を感じてくださいとおっしゃっています。発想し構想しつくっていくという段階がしっかりとして作品となっていった点を高く評価して佳作としました。

佳作

作品名:竹取物語

【のぞく時の注意点】シンプルにすることを意識して作ったので、こわれにくくなっていると思います。ただラインストーンははずれるかもしれません。

【工夫した点】「竹取物語」を表現するために、ビーズの量を調整しました。外観はかぐや姫が出てきた竹をイメージしました。暗い所で見ると竹が光って見えます。

【この万華鏡の楽しみ方】最初軽くふって下に向けてのぞいて、ゆっくり回しながら少しずつ上に向けてください。かぐや姫が竹から出てきて月に行くまでの物語を感じてください。最後光に向けるとより月っぽく見えます。

審査員講評

 作品「竹取物語」を佳作としました。竹取物語とは、竹から光り輝く女の子が誕生し、月に帰って行くまでの物語です。楚々とたたずむ竹や、輝く光体験を伝えてくれる万華鏡です。

 外観は、紙粘土で竹の緑色と明るい空色のベースをつくり、節目に小粒の金色のオブジェクトで節のアクセントを入れています。外観は、スルリとシンプルなたたづまいとなっています。ドライタイプの万華鏡ですが、小粒の金色のオブジェクトを沢山入れ、その中に混ぜた赤色や緑色のオブジェクトが華やかさを演出しています。

 輝く子どもの誕生を見事につくりあげた点を評価して佳作としました。

主催:京都万華鏡ミュージアム