子ども万華鏡大賞

作品名:わたしの「かわいい」はね、

審査員講評

 幼児部門子ども万華鏡大賞は、作品名「わたしの「かわいい」はね、」としました。プレゼントというテーマに対して、この作品は、「私の可愛いを君にあげるよ」という思いで作られました。筒はラッピングする発想でつくり、ラッピングをあける気持ちで筒をのぞくと、プレゼントを開けるときのわくわく感が楽しめ、オイルタイプの万華鏡なので、ビーズやスパンコールがゆっくりと、そしてキラキラと美しく展開していきます。わくわくするプレゼント体験の万華鏡なのです。   

 そのねらい通り、万華鏡の筒は、よく目立つ赤色(赤紫色に近い)の作品です。

 筒には、宝石型の輝くオブジェクトが規則正しく配置されています。これで終わらず、自作の紙粘土造形が加えられます。ハート形(ピンク色、グレー色)を粘土でつくり、その上に輝くオブジェクトが埋め込まれています。さらに、黒いペンでドローイングされる造形もあります。注目したいのはこれらの中に、グレー色と白色の粘土でユニークな可愛いモチーフが作りこまれています。この造形の近く(筒のオブジェクトケース側)には、カラフルで薄い色のリボンとシルクチュールのような透けた感じの布が巻きつけられています。エレガントな印象がアピールされているのです。

 覗いてみると透明なピンク色や緑色や金色に輝くオブジェクト等が、オイルタイプの万華鏡なので、ゆったりと変化していく光映像をつくりだします。つまり、筒の求心力に導かれて覗いてみると、そこにはわたしの「かわいい」が、見事にひとつにつながっているのです。この作品の統一感の素晴らしさや個性的な表現を高く評価して子ども万華鏡大賞としました。ママにプレゼントしたいそうです。一生の宝物のようなプレゼントとなりました。

京都市教育長賞

作品名:キラキラ ケーキ

審査員講評

 幼児部門京都市教育長賞は、作品名「キラキラ ケーキ」としました。形が絶妙なとても可愛いケーキの万華鏡です。「わぁケーキだ~」と気持ちを高ぶらせ、外観に感動し、のぞいてみると誕生日ケーキを食べる時の「うれしい」気持ちになれるように考えた万華鏡です。ママにプレゼントしたいそうです。

 外観は筒(円筒)形ではなく、イチゴ味のケーキ形(円錐形)です。3層のケーキになっていて、一番下から見ると、ケーキのベースの黄土色の部分があります。その上が明るく鮮やかなピンク色の部分です。光るオブジェクトが埋め込まれており、甘さとクリーミーなストロべリー味が想像されます。その上に、アイスクリームのカップの利用でしょうか。透明ですが円錐状の頂点から放射状に突部分がのびてきており、その上にピンク色の美しい苺がのっています。

 この透明カップの先端部分には紺色やオレンジ色等のオブジェクトが入っており、動かすたびに「カラカラ」と楽しげな音がします。驚くことに3枚の鏡システムの先端が苺と、動くオブジェクトの部分になっており、本当にそれらのオブジェクトたちがつくる万華鏡の空想世界が見えているのです。オブジェクトケースが、単なる円筒型のケースではなく、ケーキ型をしているのです。

 少し斜めな外観は、まさしくケーキそのものです。覗くと苺のキラキラ世界。おいしい味覚が、光映像として見える素晴らしい作品となっています。他に類を感じられない存在感と万華鏡の機構の独自な工夫を高く評価して京都市教育長賞としました。

京都万華鏡
ミュージアム賞

作品名:うみのたからもの

審査員講評

 幼児部門京都万華鏡ミュージアム賞は、作品名「うみのたからもの」としました。2025年から貝殻&シーグラス集めを始められたそうで、その宝物のコレクションで万華鏡をつくることにされたそうです。夏にいろいろなところに行って拾って集めた貝殻やシーグラス。まさしく宝物です。その現場の記憶は鮮明で、思い出のつまった作品になりました。もうすぐ産まれてくる妹へお兄ちゃんからの初めてのプレゼントだそうです。

 筒には様々な形の無数の貝殻たちやシーグラスが配置され、その貝たちの間に青色の球体のオブジェクトが位置づけられて、素晴らしい夏の海の記憶が彷彿とされます。沢山のオブジェクトで構成されているので、波が音をたてて騒ぎ立つ潮騒さえ感じさせてくれるようです。万華鏡から音の記憶(イメージ)が感じられるのです。

 覗いてみると、貝殻の白色と茶色の構成の光イメージや、海藻を感じさせるような濃い緑色のオブジェクト。中程度の暗い色のオブジェクト。透明な小粒のオブジェクトからは海水の泡を感じるかもしれません。

 いくら言葉で話しても海で体験した記憶は伝わりません。万華鏡に託すという素晴らしい発想でした。貴重なプレゼントとなった本作品を高く評価して京都万華鏡ミュージアム賞としました。

審査員特別賞

作品名:ちいさな きれいな きれいな まんげきょう

審査員講評

 幼児部門審査員特別賞は、作品名「ちいさな きれいな きれいな まんげきょう」としました。DVDかCDのディスクでしょうか。作者は、ディスクの中心部分にビー玉をはめてよく回るようにし、カラフルな工夫がいっぱいの2枚のディスクを準備されました。

 一方のディスクは光沢面に、色紙を切って何枚も重ねておくことで色変化を楽しめるディスク。他方のディスクは、白いディスク面に、キラキラオブジェクトを貼ったり、カラフル色でペン書きしたディスクです。

 本作品の光システムは、筒の先のレンズからその景色が鏡内に投射される万華鏡(テレイドタイプ)なので、回転する円盤を見ると、カラフルで多重な素晴らしい光世界を見ることができます。筒は、おとうさんの好きな花火だそうです。お父さんにプレゼントしたいそうです。

 外部に回転速度など動きの変化のある色彩のソースを準備し、そのソースが、見る人が見る時に自分で色世界の組み合わせができるようにするという、万華鏡の鑑賞者に開かれた工夫を持ち込んだ点を高く評価して審査員特別賞としました。

佳作

作品名:おはなばたけごとプレゼント

審査員講評

 作品名「おはなばたけごとプレゼント」を幼児の部門佳作としました。住んでおられる栃木県那須のお庭には、お花がいつも咲いていて、蝶々や蝸牛やキラキラ光るものでいっぱいだそうです。このお花畑の様子をそのままに、見る人にプレゼントしたくてつくったそうです。

 筒には赤色や薄いピンク色のお花が、プレゼントされるようにリボンで括ってある表現です。そこには空色の蝶やピンク色の蝶がおり、明るい空色のらせん状の造形は、蝸牛でしょうか。何匹もいます。

 覗いてみるとカラフルな少し大き目で透明なオブジェクトが沢山入っていて、ピンク色やオレンジ色、青色などを使って、沸きあがるほどのどこにもない明るい色感が展開されます。豊かな自然の美しい姿を大変に感じられる点を高く評価して佳作としました。万華鏡の大好きなみんなにプレゼントされているそうです。お花畑の楽しさがプレゼントされる夢いっぱいの万華鏡となりました。

佳作

大好きなレッサーパンダ

審査員講評

 作品名「大好きなレッサーパンダ」を幼児部門の佳作としました。筒全体を紙粘土でレッサーパンダを表現した万華鏡です。作者は、レッサーパンダが大好きだそうです。しっぽの縞々や顔の細かいところがしっかり作りこまれて、可愛さが増幅しています。また、首にあたるところが、オイルタイプのオブジェクトケースとなっていて、茶色と黒色と白色のレッサーパンダというだけではなく、とても独自性の高いオシャレな感じがします。ふわふわと色の変化するマフラーをしているかのようなデザインなのです。

 覗いてみるとオイルタイプの万華鏡なので、オレンジ色や緑みの青色、グレー色や黒色など、神秘的で独自な光世界を見ることができます。オイルのオブジェクトケースは、横から光が入るので、とても明るい光の線を感じさせることがあります。動物園のレッサーパンダのウーロンとミーミーへプレゼントしたいそうです

 本作品のレッサーパンダは、緑色のケースを赤色のリボンでくくったプレゼントを持っています。物語の主人公のようです。楽しさいっぱいの本作品を高く評価して佳作としました。

佳作

作品名:万華鏡のせかい

審査員講評

 作品名「万華鏡のせかい」を幼児部門の佳作としました。筒の部分全面にプチプチを貼っています。そのプチプチの円形の突起すべてに赤色や緑色、青色や朱色、紫色や黄色等で塗っておられます。また、ドライタイプの万華鏡で、透明なオブジェクトケースにプチプチと同じ大きさほどの透明なカラフルオブジェクトが入っており、不思議な統一感があります。おばあちゃんへプレゼントしたいそうです。

 さらにこの万華鏡のオブジェクトケースには、透明な薄い黄色のオブジェクトと金色のモールが入っており、金色が黄色の連想があるので、透明な空色のオブジェクトと補色関係の鮮やかに目立つ表現となっています。

 中をのぞくと、ハーフトーンの中に透明な黄色と金色がアクセントとなった美しい光世界がつくられます。オブジェクトの量も適量で、軽快にころころと変化していく万華鏡となりました。

 表現を着実に積みあげて、独自な万華鏡世界をつくりあげた点を高く評価して佳作としました。

主催:京都万華鏡ミュージアム