子ども万華鏡大賞

作品名:春のまんげきょう

審査員講評

 小学生高学年部門の子ども万華鏡大賞は、作品名「春のまんげきょう」としました。エントリーシートでペットボトルで中に入れるビーズをつくったと書いていただきましたが、ペットボトルを細長く切って、オーブンで温めると丸まってペットボトルのビーズができます。模様を描いておくと形に即した模様ができます。オブジェクトケーズが外からは見ることができなので確定的なことは言えませんが、多くの人が既存のオブジェクトだけでつくっている中で、その一部もしくは全部を自分でつくれるんだという思いは、かなり確かなものだったと推察いたします。

 自然の木を輪切りにした材料を土台として、猫のいる水辺の自然の風景が作りこまれています。猫は、緑の双葉が出ていることに大変興味が持てたらしく、両足で立ち上がって見ています。この丘に白い水玉の紙コップが置かれていて、そこに、スティック状の花々と万華鏡が置かれています。筒の外観や、赤色や白色や青色などの春の花々が表現されています。万華鏡の筒が背景で、スティック状の花々が、手前の花たちかもしれませんが、前後感が演出され、置かれている時も美しい風景となっています。特徴的なのは、かわいい小さな葉っぱが、どんどん伸びて育っているのです。春の景色をプレゼントしたい。この思いが万華鏡になっているのです。

 中をのぞくと、ペールトーンのさわやかなイメージが体験できます。見る人によって感じ方は違ってよいのですが、外観の明快な色味の草花とそこを流れる春風にも感じられます。春風と花々がダイナミックに詩にうたわれるように感じられる素晴らしい作品となり、その成果を高く評価して子ども万華鏡大賞としました。春にプレゼントしたいとされており、春が喜んでいる姿が目に浮かぶようです。

京都市教育長賞

作品名:ゴジラ放射熱線万華鏡

審査員講評

 小学生高学年部門の京都市教育長賞は、作品名「ゴジラ放射熱線万華鏡」としました。ゴジラが上を向き口から青色の万華鏡の筒を吐き出しており、覗くと放射熱線が万華鏡の光映像として見ることのできる作品です。

 紙粘土でゴジラを精妙に表現し、着彩しています。ゴジラの尾っぽや背びれまで、ジグザグの細部を一つ一つ丁寧につくっています。傷の様子なども表現されています。背びれは、口から真っ直ぐに出ている万華鏡の筒と同じ青色で塗っています。放射熱線をはくとき、背びれも同じように発光するシーンが彷彿とされます。映画のゴジラが目の前に飛び出してきたかのようです。海から出てきているところを表すためにゴジラの体の下の部分は海の色(紺色)になっています。深い海からゴジラが登場した凄さを感じます。

 中を覗いてみると暗いダーキーな色味に細かな青色や緑色・黄緑色等が湧き上がるように見えます。ゴジラが単なる敵ではなく、放射能に侵された被害者のような感じが伝わっています。人とゴジラの大きな不幸が万華鏡の光映像に託されているように感じられます。

 外観から内部の放射熱性の光映像まで、統一感と存在感のある表現を高く評価して京都市教育長賞としました。ゴジラが好きなお父さんへプレゼントしたいそうですが、多くの方に見ていただきたい作品となっています。

京都万華鏡
ミュージアム賞

作品名:雪花

審査員講評

 小学生高学年部門の京都万華鏡ミュージアム賞は、作品名「雪花」としました。雪花とは、雪の結晶のことを指す言葉で、形状が花のように美しいことから名付けられています。この作品は、万華鏡の筒に、大き目の銀色の雪型(星形)がきらきらと輝くシンプルで美しい作品です。色みの要素を排して、明度と光の反射のみに徹したのです。背景となる筒全体には模様のある白色の布(紐状)が巻かれています。白色の遠景の細かで濃密な雪の上に、大き目の星形がキラキラと光っています。

 

 中を覗くと、白色や透明のビーズやスパンコールが入っていて、雪をクローズアップして見るようです。小さなビーズが入れてあるので動きがとてもスムーズです。雪が音もなくしんしんと降ってくる姿を連想させます。本作品は、雪の降る自然の美に大きな価値と敬意を見出し創作されたように感じられます。洗練された表現を高く評価して京都万華鏡ミュージアム賞としました。ご両親にプレゼントしたいそうです。

審査員特別賞

作品名:キラふわプレゼント

審査員講評

 小学生高学年部門の審査員特別賞は、作品名「キラふわプレゼント」としました。この万華鏡は黄色の筒に、黄緑色や赤色やピンク色などの毛のついているカラーモールをリボン状に結んで表したり、キラキラした星形オブジェクトやふわふわなスポンジなどを使ってプレゼント感を出そうとした作品です。

 万華鏡のシステムは、ドライ系のチェンバースコープです。覗いてみるとカラフルな細かいオブジェクトが厳選されて入っているので、少し動かしただけでもからからと色の粒立ちがスムーズに変化していきます。綺麗な光映像がどんどん変わっていきます。万華鏡の成り立ちをしっかりと押さえて、光映像の機能を引き出した点を高く評価して審査員特別賞としました。自分にプレゼントしたいとお考えですが、覗く楽しさをいつでも満喫できる作品となっています。

佳作

作品名:日曜日の花

審査員講評

 作品名「日曜日の花」を小学生高学年部門の佳作としました。万華鏡の外観は、大胆に3つの紙で構成した作品です。配色としては、線状の濃淡のある明るい感じの紫色と、金色の細い線が入っている紺色を大きな上下領域とし、真ん中が光沢のある赤色とされています。

 万華鏡のシステムは、ドライ系のチェンバースコープです。覗いてみると極めて細かいオブジェクトを選んでいるので、さらさらと光映像が変わっていきます。その中に中程度の大きさの星形のスパンコールがキラキラと光の反射をつくっています。紫色のポンポンが固定されておりその周りに変化がおこる光映像を見ることができます。

 ポンポンの姿が可愛く、その周りがダイナミックに変化していく万華鏡の光映像を引き出してきた点を高く評価して佳作としました。

佳作

作品名:お花ばたけワールド

審査員講評

 作品名「お花ばたけワールド」を小学生高学年部門の佳作としました。和紙を使って、お花や太陽が作られている万華鏡です。和紙をどのようにちぎると効果的か工夫して制作されています。太陽の中心部分は、茶色(赤系統)で、光る部分は黄色が切って貼られています。赤い花は、空に向かって伸びようとしているかのようです。葉っぱも上を向き元気な姿が印象深いです。この花の上に「いつもありがとう」の文字が書かれていますが、あたかも花が言っているかのようです。となりの紫色の花は、少し下を向いているようです。葉っぱの色が暗い緑とし、長さも短くしています。この紫色の花は、太陽の直下にいます。どうしたんだろうと思ってしまいます。見る方も、こうじゃないかと予想して見ていただければと思います。

 万華鏡のシステムは、ドライ系のチェンバースコープです。覗いてみると南天の先のすぼんでいく赤い葉っぱが印象深い形をしていて、黄緑色の小さな粒のオブジェクトとの関係が大変見どころとなっています。そして、この光映像は極めて軽快に動くのです。その変わりようは圧巻と言えるでしょう。自分で工夫してオブジェクトを選択した研究的姿勢がこの成果をうみだしていると思われます。万華鏡の基本に立ち返って、工夫して素晴らしい光映像にたどり着いた点を高く評価して佳作としました。ご家族へのプレゼントだそうですが、この光映像は、できるだけ多くの方に見ていただきたいという願いが起こります。

佳作

作品名:ふわふわリボン

審査員講評

 作品名「ふわふわリボン」を小学生高学年部門の佳作としました。明るい空色の筒の万華鏡です。レースを斜めにつけ、上部と下部でリボンが結ばれています。光る花形オブジェクトを何個か配置してアクセントにしています。

 万華鏡のシステムは、ドライ系のチェンバースコープです。覗いてみるとピンクの花形が印象的で、作者も桜があるように見えるのがポイントだと述べておられます。紺色やマゼンタ色の反射するスパンコールも美しさを際立たせています。小粒のころころとよく転がるオブジェクトが迅速に光映像を変えていく原動力になっています。美しさの最終目標を明確にして、統一感のある造形美が存在する万華鏡になっています。これらの万華鏡の基本をしっかり押さえて作り上げていった点を高く評価して佳作としました。自分へのプレゼントだそうです。

主催:京都万華鏡ミュージアム