作品名「0時の町並み」を中学生部門の京都万華鏡ミュージアム賞としました。この万華鏡は、外観が黄色と紺色のコントラストの高いデザインで構成された、とても目立つ美しい万華鏡です。
2つの大きな特徴があります。1つ目は、つくりの2重構造です。外側の透明ケースと、絵がデザインされ鏡が設置されている内側の円柱状ケースで構成されているのです。外側のケースは単なるケースではなく、最下部に5個の黄色のビー玉と、紺色の2個のビー玉を入れ、このビー玉の色や動きが、内部の円柱型の万華鏡の光の取り入れ口と連動しています。オブジェクトケースになっているのです。さらに窓ガラスのように光沢感があるので、町並みをある建物の窓から見ているような気持ちにさせてくれます。
2つ目の内側の筒には、明るい夜の風景が表現されています。夜というと暗闇やネオンサインなど人口の光源がイメージされますが、どこまでも明るい月夜のイメージなのです。この街はビルもあるのですが、鋭角の三角屋根の塔を持つ家があります。その家には室内にも室外にも猫がいます。一匹は屋根の上で月を見ていますし、もう1匹は、室内を歩いています。
万華鏡のシステムは、ドライ系のチェンバースコープです。ピカピカする星形のオブジェクトの層と、前述したビー玉の色彩が投影された層があり、2重の光映像となっています。
このように、色彩構成や光の構成などで卓越していると高く評価し京都万華鏡ミュージアム賞としました。お母さんにプレゼントしたいそうですが、文学的ともいえる猫の活躍する月夜の美しい町並みをプレゼントされるお母さんをうらやましく思う鑑賞者も多いことでしょう。