第8回子ども万華鏡大賞公募展
~子ども万華鏡の魅力~

子ども万華鏡大賞公募展

実 行 委 員 会

1 趣旨

子ども万華鏡大賞公募展は、第8回目となります。この展覧会は自由に、想像の赴くままに万華鏡を制作する事で子ども達の心がより豊かに、より健やかに成長できることを希望して実施されています。

2 主催及び共催 
 主催は、特定非営利活動法人京都万華鏡こう房・京都万華鏡ミュージアム(京都市中京区姉小路通東洞院東入曇華院前町706-3)、共催は、京都市教育委員会です。
 
3 募集期間、審査日、表彰式
 募集期間は、2020年7月21日(火)~2020年9月22日(火)でした。授賞式は、2020年11月1日(日)午前11時より、場所・会場を京都万華鏡ミュージアムと予定していましたが、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、オンラインによる表彰式とすることとなりました。
 
4 美術展開催日程
 美術展覧会の開催は、下記の通りです。
 
(1)展示期間 2020年11月3日(火)~11月8日(日)
        午前11時~午後5時(最終入館 午後4時30分)
(2)展示場所 京都万華鏡ミュージアム 姉小路館アートギャラリー
 
5 受賞区分および懸賞の種類
 受賞区分としては、発達段階に即して幼児の部、小学生低学年の部、小学生高学年の部、中学生の部の4区分を設けています。懸賞の種類はその各区分ごとに、子ども万華鏡大賞、京都市教育長賞、京都万華鏡ミュージアム賞を設定しています。また、優秀な作品の多い場合、審査員特別賞を出すことにしています。
 
6 応募状況
 応募者総数は44名で、2点応募の方があり応募作品総数は45点でした。部門別・都道府県別の応募者数を示したのが表1です。応募総数は、昨年よりも多くなる傾向でしたが、応募された県は、3県で狭くなる傾向でした。また、中学校からの応募は増加傾向にありました。過去には、大阪府・市、愛知県、神奈川県、北海道などからの応募があり、コロナウイルス感染症発生の影響があるように思われます。
 
表1 部門別、都道府県別の応募者数
県(府)名幼児部門小学生低学年部門小学生高学年部門中学生部門県(府)合計
京都214111542
香川10001
千葉01001
合計315111544
7 審査員と審査方法について
 審査は、子どもの創作活動の研究の立場1名、万華鏡創作の立場1名、子どもの教育実践の立場1名、美術館の立場1名の4者の立場の審査員で構成しています。審査委員長は、村田利裕(京都教育大学美術教育学教授)で、子どもの創作活動の研究の立場で審査にも加わっています。
 審査方法は、受賞者を絞り込むために第一段階で4者で投票を行い、全体傾向を探りました。第二段階では、多くの得票をえた作品を対象に4者で妥当性を協議して、受賞者を合議で確定していきました。なお、審査日程と場所は、9月25日(金)に京都市教育相談総合センターこどもパトナ(京都市中京区姉小路通東洞院東入曇華院前町706-3)1階会議室で実施しました。
 部門ごとの応募作品数と受賞数の一覧は表2、部門ごと各賞ごとの受賞作品数の一覧は、表3です。
 
表2  部門ごとの応募作品数と受賞数の一覧 
賞名幼児部門小学生低学年部門小学生高学年部門中学生部門賞合計
応募作品総数415111545
受賞者数3114624

表3 部門ごと各賞ごとの受賞作品数の一覧
賞名幼児部門小学生低学年部門小学生高学年部門中学生部門賞合計
子ども万華鏡大賞21115
京都市教育長賞11114
京都万華鏡ミュージアム賞12115
審査員特別賞071311
各受賞作品数合計4114625

 

8 子ども万華鏡の魅力と作品の特徴
 子どもの作品は、どれも作った時の感動が溢れています。ここでは、受賞者の方の作品の魅力と特徴の分析を通して、その一端をお知らせし、審査講評ともしていきたいと思います。(※各部門の作品ページでも一部抜粋して講評を掲載しております。)

幼児部門の「子ども万華鏡大賞」は、作品「おねえちゃん」「おにいちゃん」としました。万華鏡で人形遊びや人形劇ができるのです。ピンク色やセルリアンブルー色の毛糸でのボリュームのある表現を高く評価しました。髪の毛が揺れて形を変え、話をしながら万華鏡を楽しむことができるのです。さらにその人形の内面的な心情や人形の遊び世界を万華鏡を覗いて、光世界で体験できる作品なのです。

 「京都市教育長賞」は、作品「やさしいうさぎのうさちゃん」としました。うさぎの万華鏡ですが、ふわふわした質感の材料を使った万華鏡です。万華鏡というと、どうしても固い顕微鏡状態の筒というイメージから脱しないのですが、この作品は手の中に動物がいるような独自な存在感があります。覗いてみると緻密・繊細な淡い色感から、やさしく伝えられる確かな生命のメッセージを感じることができるでしょう。

 「京都万華鏡ミュージアム賞」は、作品「ほし」としました。万華鏡を宇宙空間と見立てて、大きな折り紙の星がシンボリックにあしらわれた作品です。万華鏡の中でも星8個で表現しています。動く星世界を見ることのできる万華鏡であり、見る人は、再帰的に発展していく深まる鑑賞体験をします。万華鏡でしか作り得ない世界を高く評価しました。

 小学生低学年部門ですが、「子ども万華鏡大賞」を作品「くるくるまわるスイーツ」としました。持ち手のところが回るように工夫された万華鏡で、基本的なようですが、回す動作がダイナミックな光空間を確かに演出するのでとても大切な基礎と言えるでしょう。筒は、円筒の上に少し広がる形を重ねた円錐的な形をしています。その透明なプラスチックの中に、カラフルで美味しそうなスイーツが陳列ケースのように数多く紹介されているのです。スイーツの色を映えさせるのに筒の色を黒色を選択しているところにも注目したいと思います。先端は、カラフルなセルが入っている透明な容器ですが、黒い筒にカラフルな部分がプラスされた美しい姿となっています。万華鏡を覗いてみると、オイル型の仕組みを使っているので、ゆったりとオブジェクトが動き、とろけるような味覚を感じさせる色彩世界が展開されます。様々な魅力が一つになった作品として高く評価しました。

 「京都市教育長賞」は、作品「ふしぎなえとけっしょう」としました。この作品は、緑色、黄色、オレンジ色とグラデーションする綺麗な筐体です。この万華鏡には、○(マル)と△(三角)の磁石を先端につけたスティックが2本ついています。万華鏡内部のオブジェクトにクリップのような細く繊細な線状の針金構造体が入っており、この磁石スティックでその位置を変えて、変化する結晶世界を楽しむことができるのです。繊細な世界を体験できる極めて新鮮な作品だと思われます。

「京都万華鏡ミュージアム賞」は、作品「おひめさま」です。ドレスで着飾ったお姫様のような万華鏡です。ビーズもネックレスのように紐に通して巻き付けています。先端がスムーズに回転し、上品な光世界が演出されています。 

「京都万華鏡ミュージアム賞」は、作品「わたしの宝石箱」としました。透明感たっぷりの電球型のケースを使った万華鏡です。外観では宝石の光の粒が満ちており、覗いた世界は、無限の細密な色彩世界が展開されています。 

「審査員特別賞」は、7点としました。

作品「リサイクルまんげきょう」は、紙を矩形のチップに切り、それを積み重ねて表現されています。黄色の太陽が先端についているスティックが別についていますが、万華鏡の筐体に差し入れて固定できるようになっています。矩形のビルが建ち並ぶ都市から太陽が出てくるような風景のワンシーンに出くわしたような感触が楽しめます。 

作品「グリーンのたき」は、滝壺を表現した万華鏡です。紙粘土で滝の複雑な形状を表現しています。沢山のグリーンと紫色のビーズを入れているので、飛び散る滝壺の水しぶきとグリーンが自然観を代表しており、滝壺に本当にいるかのような体験をさせてくれる万華鏡です。 


作品「オリジナル万華鏡(オイルタイプ)」は、オイルタイプの万華鏡です。この作品は、オレンジ色、ブルー、セルリアンブルーなどの色片が、踊るように変化する万華鏡です(オイルタイプ)。色の美しい変化を堪能できる万華鏡となっています。 

作品「おかしのせかい」は、紙粘土で飴やクッキーでしょうか、カラフルなお菓子でいっぱいな箱庭のような世界に、お菓子の柄を貼った万華鏡も参加しています。このお菓子でいっぱいな世界を見ながら、万華鏡を見て欲しいとしており、見る人が想像力を活発にして見る作品となっています。 


作品「海底に眠る宝物」は、海の底の貝の中に宝物が眠っていることを想像しながら見る万華鏡です。この万華鏡では、深く暗い緑色やくすんだブルーのビーズを入れた光世界が展開されます。作者は、彫刻のように立体で示された世界と別な万華鏡の光世界を心の中で一つにする鑑賞を求めておられます。かなり難しい要望ですが、新鮮で興味深い提言だと捉えています。

作品「アヒルのおとうちゃん」は、口をパクリと開けている黄色のアヒルのおとうさんの万華鏡です。くちばし、羽、水かき、ネクタイ、それからオブジェクトの入っているケースが、動く襟(えり)のようでもあるユニークな造形の万華鏡です。万華鏡を覗くと、アヒルのおとうさんが話しかけてくれるような、印象を体験させてくれる独特な万華鏡となっています。

作品「動物の森のキャンプ」は、万華鏡のひそむ森のキャンプ場です。楽しいキャンプ場には、川あり草むらありの場所です。テントの上空にはカラフルな三角(△)の籏がたなびいています。実は万華鏡の筒にも、それと同じ籏がたなびいています。万華鏡の光空間では、赤色や黄色のかわいらしい細かな花やクローバーのような葉が沢山咲いている場所が体験できます。

 万華鏡の外の空間を作り込んで、それと光空間を総合して味わう鑑賞方法の是非は、いろいろあるかも知れませんが、大胆な子どもたちの提案を審査員特別賞として3作品取り上げることといたしました。

 小学生高学年部門では、「子ども万華鏡大賞」を作品「夜の星」としました。彦星と織り姫とが会えることを祈って見る万華鏡です。万華鏡の筒には、夜空と川の流れが表現されています。万華鏡の光世界は、深い青色と緑色が重層するところに乳白に瞬く真珠色の星世界なのです。神秘的な宇宙世界と2人が奇跡的な出会う世界とが融合統一した姿を万華鏡としています。 

「京都市教育長賞」は、作品「海の世界」としました。この作品のオブジェクトケースの先端には、白い灯台か、船の構造物のような印象の造形物がつくり込まれています。この白い灯台状のものは懐中電灯のように銀色のスイッチでオブジェクトケースに光を届けることができます。万華鏡の筒には、どんどん深くなっていく海のように、明るい青から暗い紺色にグラデーションになっていて、沢山の魚たちが泳いでいます。万華鏡の光世界は、潜水艦から深海を覗いたようで、塩の結晶も見ることができます。海世界の深層に迫る作品だと言えるでしょう。

 「京都万華鏡ミュージアム賞」は、作品「(ハッピー)Happy 水族館」としました。万華鏡というと金属製や木製・陶器など、硬質の材料のイメージがあります。この作品は、透明(黄色)のビニールポーチでつくられているおしゃれな万華鏡です。その中にクジラやイルカなどが楽しそうに泳いでいるのです。この万華鏡をいつも身近に飾って置いておけるように、トビウオや河豚など様々な魚の棲んでいる万華鏡立てが準備されました。全部で、高層ビル型水族館と言えるでしょう。万華鏡の光世界は、オイル型の効果が満点で、神秘的にゆったりと変化する繊細な色彩世界が満喫できる作品となっています。

「審査員特別賞」は、作品「かがやく花」としました。万華鏡の筒自体が、七色に分光する偏光シートや反射シート、透明のカラフルなビーズなどで装飾された目立つ表現となっています。ところが、万華鏡の光世界は、青空の下に咲き誇る花畑のような世界が体験できるのです。オブジェクトに黒に近い暗い材料が投入されている効果で質感を高めるのに成功しました。

中学生部門では、「子ども万華鏡大賞」を作品「宇宙」としました。作品の筒は、深い紺色から明るい青にグラデーションで塗られている宇宙世界です。小さく星々が瞬いていて、万華鏡の外観は、暗く深い宇宙として表現されているのです。覗いてみるとそこは深淵を突き抜けた別世界となります。宇宙の複雑な関係性世界を目の当たりにするのです。線状・マッスの形状両面のオブジェクトを選択した効果でしょう。また、色彩・輝度の選択が巧みです。外観からくる「宇宙とは何か?」という問いかけに「宇宙とは、こういうものだ」と答えている万華鏡と言えるでしょう。 

「京都市教育長賞」は、作品「巻物」としました。この万華鏡の外観は、シンプルで端正な市松文様のデザインが特色です。ところが内部の光世界は透明の赤色・青色・黄色の3原色で構成され、目に飛び込む色彩構成としています。大胆さを味わう万華鏡でしょう。

「京都万華鏡ミュージアム賞」は、「私なりの可愛いをつめこんだ万華鏡」としました。薄いピンクが主調色の万華鏡です。大きな同系色のリボンを配置しています。その中心には真ん中に同系色のパールに光る大きなボタン状のオブジェクトを配置しています。花柄のリボンは少なめにして、派手さを押さえたところから生じる美しさが感じられます。万華鏡内部の光表現は、暗い色のオブジェクトと透明のオブジェクトを中心に入れて明度構成が基調の美しい表現となっています。 

「審査員特別賞」は、3人の方としました。

作品「るんるんパンダ♪」は、万華鏡の筒にパンダのイラストと虹を配置しています。大好きなパンダと幸せいっぱいの虹を表現したそうです。万華鏡を覗いてみると、特筆すべきユニークな世界が表現されています。黄色の線状のオブジェクトと深い緑の面状のオブジェクト、小さな粒状のオブジェクト(円形の緑色、マゼンタ色、レモンイエロー色など)。この3者のオブジェクトが、変幻自在に構成する映像はまさしく新感覚の体験と言うべきものでしょう。

作品「パステルリボン」は、万華鏡の筒にパールに輝く素材を貼り、淡い黄色と水色で構成された一つの大きなリボンが特徴の作品です。まさしく題名のパステルリボンの作品と言えるでしょう。覗くと万華鏡の光世界は、明るい乳白色の背景に、小さな透明の花たちが咲いているお花畑のような世界なのです。 

作品「ツリー」は、木の万華鏡です。この作品では、帯状の緑色の偏光シートを何度も折って、葉を表現しています。遠くからでもとても目立つ作品となっています。様々な飾りでクリスマスツリー風にすることも考えられたでしょうが、木(葉など)そのものを工夫して表現したいと志した表現者の自然への思いを評価したいと思います。万華鏡の光世界は、毎日木があびて過ごす太陽の光の生活のようです。数多くの葉と葉の間から光がこぼれる毎日の、そして数多くの幸せの瞬間が訪れると言っているようです。

美術作品の鑑賞は、一つの作品に一つの解釈とされることが現在でも多いでしょう。しかし、子どもの作品は、作品に関わる感性的な発展があるばかりでなく、作品もいくつかの感性的な刺激のひとつであり、複数の美術的・感性的なリソースから総合されて次の段階に進んでいく、鑑賞の漸進性の体験を検討する必要性が出てきたようです。

主催:京都万華鏡ミュージアム